京都市議会 > 2000-09-20 >
09月20日-04号

  • "長期修繕計画"(/)
ツイート シェア
  1. 京都市議会 2000-09-20
    09月20日-04号


    取得元: 京都市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-07-19
    平成12年  9月 定例会(第3回)       平成12年第3回               京都市会会議録 第4号       (定例会)           平成12年9月20日(水曜日)出席議員(72名)   1番 竹内 譲君   2番 井上教子さん   3番 小川ひろき君   4番 砂川祐司君   5番 田中英之君   6番 中村三之助君   7番 二之湯智君   8番 井上けんじ君   9番 玉本なるみさん   10番 東山洋子さん   11番 山口 勝君   12番 柴田章喜君   13番 久保省二君   14番 安孫子和子さん   15番 中村十一君   16番 石黒利雄君   17番 加地 浩君   18番 橋村芳和君   19番 加藤盛司君   20番 繁 隆夫君   21番 せのお直樹君   22番 岩橋ちよみさん   23番 中村かつみ君   24番 西野さち子さん   25番 安井 勉君   26番 大道義知君   27番 日置文章君   28番 谷口弘昌君   29番 天方晶英君   30番 宮本 徹君   31番 鈴木マサホ君   32番 内海貴夫君   33番 大西 均君   34番 巻野 渡君   35番 田中セツ子さん   36番 加藤広太郎君   37番 北山ただお君   38番 河上洋子さん   39番 井坂博文君   40番 倉林明子さん   41番 佐藤和夫君   42番 富きくお君   43番 高嶋弘恵さん   44番 中西賢治君   45番 可児達志君   46番 中西正三君   47番 今枝徳蔵君   48番 小林あきろう君   49番 梅林 等君   50番 伊藤義浩君   51番 磯辺寿子さん   52番 中野竜三君   53番 井上与一郎君   54番 川中増次郎君   55番 高橋泰一朗君   56番 森ます子さん   57番 藤原冬樹君   58番 若宮 修君   59番 山中 渡君   60番 山本正志君   61番 三宅誠孝君   62番 有吉節子さん   63番 宇都宮壮一君   64番 山口幸秀君   65番 椋田知雄君   66番 中村安良君   67番 北川 明君   68番 国枝克一郎君   69番 西脇尚一君   70番 青木善男君   71番 津田幹雄君   72番 坂口芳治君欠席議員(なし)  議事日程  開議日時 9月20日午前10時  一般質問(1)市政一般について  岩橋ちよみさん(2)市政一般について  井上けんじ君(3)市政一般について  梅林 等君(4)市政一般について  中西正三君(5)市政一般について  大道義知君         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 〔午前10時1分開議〕 ○議長(二之湯智君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、席上に配付致しておきました。 本日の会議録署名者を指名致します。倉林明子さんと山口勝君とにお願い致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) この場合、議長から御報告申し上げます。 今回受理致しました請願247件は、お手元に配付してあります文書表のとおり、所管の常任委員会に付託致します。 以上、御報告申し上げます。御了承願います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) 昨日に引き続き、これより一般質問を行います。発言の通告がありますので、これを許します。市政一般について、岩橋ちよみさん。 〔岩橋ちよみ議員登壇(拍手)〕 ◆(岩橋ちよみさん) 私は、日本共産党市会議員団を代表して市長、関係理事者に質問致します。 まず島津製作所五条工場跡地に計画されている大型商業施設についてです。この計画は、京都市土地利用の調整に係るまちづくりに関する条例、望ましい商業施設集積実現のためのガイドプラン制定後、第1号案件として届出が行われたものですが、4万1,000平方メートルの府内最大規模大型複合商業施設です。その規模は、南区のジャスコ洛南店の2倍、大丸や京都駅ビルの伊勢丹百貨店に匹敵するものです。島津製作所は2万平方メートルとする市のプランも平気で破り、交通問題での住民の不安にも答えない。意見書の提出では労働者全員に賛成の意見書を出せと指示したことも明らかになりました。この企業の横暴に対して毅然とした態度をとるべきではありませんか。市内では大規模工場の流出が相次ぎ、四条通の12万平方メートルに上る三菱自工跡地には大型複合商業施設の計画も報道されています。そのほかにも第一工業製薬などの工場移転計画もあり、事は島津にとどまりません。島津五条問題は京都経済や21世紀の京都のまちづくりを左右し、京都市の姿勢が問われる重大な問題です。 問題の第1は、この計画が地域経済、とりわけ地元中小小売店や商店街に与える影響についてです。大型店の相次ぐ出店によって市内の大型店の小売店舗に占める面積は、今回の島津を含めると50パーセントに迫る勢いで10年前から20ポイントも増えています。大型店の出店が中小小売店や商店街に大きな打撃を与え京都経済を疲弊させていることは明らかです。下京区のある商店街の役員さんは、下京区は東部は伊勢丹にやられ、西部は洛南ジャスコで壊滅的な打撃を受けている。その2倍の施設ができようとしている。商店街はなくなれと言わんばかりと語っておられます。下京区の五条通沿いでは横断幕を掲げて反対しようとの話も住民の間から上がっているほどです。右京区でも、計画地の近くで50年近く市場を経営されてきた方は、京都ファミリーが開店し近くの二つの市場もなくなった。商業施設の進出は中小小売業をつぶしに掛かっている悪行としか思えない。一点集中型になり高齢者の住みにくいまちになるのが目に見えていると痛切な声を上げておられます。島津は、西部地域は大型店が少なく活性化のために役に立つと答えましたが、この間、右京区だけでもライフが太秦、梅津、西京極と3店も出店し商店街は青息吐息の状態、地域のコミュニティが破壊される深刻な事態になっています。今回の計画に対して京都市小売商総連合や京都小売市場連合会や住民から多くの反対や見直しを求める意見書が提出されています。市長、この切実な声をどう受け止められますか。大映通商店街など七つの商店街が力を合わせ京都ウエストサイド物語のイベントを取り組んだり、幕末の町並み創造に向け努力している竜馬通商店街まちおこし事業を取り組むなど頑張っておられます。こんな商店街を応援することこそ必要ではありませんか。京都にこれ以上大型店は要らないという立場を明らかにすべきです。いかがですか。 第2は、交通など環境問題です。計画地は五条通に面していますが、今でも慢性的な渋滞地点となっています。そのうえ五条通物集女からの連続立体交差事業の出口に当たり、地下高速道路西大路線の計画でも出口に当たる所となっています。 〔二之湯議長退席、今枝副議長着席〕 ◆(岩橋ちよみさん) (続)ここに更に2,500台収容の駐車場で車を呼び込むことになれば、渋滞緩和どころか渋滞発生源になることは明白です。今でも洛南ジャスコでは、土日は駐車場待ちの車が西大路七条、十条通にあふれ、1車線がふさがれる大変な事態になっています。これ以上の事態が五条通でも予想され、環境の悪化はますます深刻になります。近くには保育園もあり、朝夕には送り迎えの自転車も多く、周辺住民からも心配の声が上がっています。本市は国のモデル地域として歩いて暮らせるまちづくりを進めていますが、このまちづくりに反する計画になるのではありませんか。渋滞を更に深刻にし、住環境を破壊する計画を進めるべきではありません。いかがですか。 第3は、本市の商業集積ガイドプランまちづくり条例の問題です。島津製作所は2万平方メートルの根拠について、ぴんとこないし市から納得できる説明もない。計画どおり進めたい。住民の意見を聴いていてはプランはまとまらないと言っています。私たちは、商業集積ガイドプランは無制限ゾーンの設定や工業地域の2万平方メートルまでの設定を認めるもので、大型店誘致プランであること、まちづくり条例については、町並みの破壊や市場、商店街の疲弊など地域経済の危機に対して真に実効ある条例にするため市民的な討論が必要であり、拙速なやり方をすべきではないと指摘しました。今回の計画によってそのことが裏付けられたのではありませんか。東京杉並区では、大店立地法の欠陥を補う独自の条例が全会一致で可決されました。本市でも商業集積ガイドプランを撤回し、まちづくり条例を世界に誇る京都のまちを守り、大型店の出店を規制し、市民や商業が息づくものに見直すことが必要ではないでしょうか。そのために地域住民の合意を得るにふさわしい説明会の開催期間や情報公開の義務付け、違反したときの罰則規定を設けることが必要です。いかがですか。そして国に対して大店立地法など大型店出店自由の規制緩和路線の転換を求めることではないでしょうか。市長の見解を求めます。 次に、介護保険について伺います。介護保険制度が始まって半年がたとうとしています。私たちは毎回の本会議でも採り上げ、国や市にも改善を求めるなど誰もが安心できる介護保険制度になるよう求めて参りました。以下、半年間の実態を踏まえお伺いします。 第1は、5月議会でも指摘したように、利用料の負担増によってサービスを切り下げる深刻な事態が引き続き起きているという問題です。とりわけ訪問看護は利用者が大幅に減っているのが実態です。ある81歳と76歳の2人暮らしの御夫婦は、脳梗塞や痴呆があり2人とも要介護3の認定を受けられました。毎週1回の訪問看護で2,000円だった負担が4月から1万円となり、奥さんの訪問看護を隔週にし、時間も1時間を30分に減らされました。それでも奥さんは、夫の訪問看護を1回減らしてほしい。自分の訪問も月1回にしてほしいと要求され、結局奥さんは入院、御主人も病状と負担のぎりぎりのところで在宅生活をされています。これ以上減らせば命にかかわるような事態でも、なお負担に耐えられずサービを減らしてと訴える方はこの方だけではないのです。ある事業所で、限度額に対する利用率の調査をされたところ平均33パーセントという結果です。特別委員会では低所得でサービスが使えない人がいるとは思っていないと答弁されましたが、サービスの供給量見込みと給付実績を見ても、特に訪問看護、訪問リハビリ、短期入所が極端に低くなっているではありませんか。利用料の負担が重く利用抑制につながっていることは明らかです。こういう事態をなくすために、国に対して3パーセントの軽減措置を訪問介護だけでなくすべての在宅サービスに広げることを求めるとともに、本市独自の減免制度を作ることが必要です。いかがですか。 第2は、本市が本気で実態をつかむことです。ある特別養護老人ホームは100人が待機され、デイサービスは3箇月待ち、ショートステイは11月の予約を7月からとっているということですが、このような実態は全くつかめていないのではないでしょうか。行政区ごとで事業者の6割の調査が行われましたが、介護保険の実施で利用者の実態がどう変わったのか、待機者はどうなっているのか、サービスの供給は見込みどおりできているのかなどつぶさな調査が必要ではありませんか。厚生省は、市町村が利用実態をつかみニーズを調査するのは事業計画を立てるためにも当然だと言明しています。特別委員会で理事者は、何らかの形で利用者の声を聴くことはやぶさかでないと答弁されました。サービスごとの利用実態をつかむ調査を直ちに行うべきです。お答えください。 第3は、保険料についてです。10月から保険料の徴収が始まります。この間65歳以上の方への保険料の通知が行われて問い合わせが1万1,000件も殺到しています。その多くが住民税非課税にもかかわらず課税世帯として保険料算定されたことに対する苦情です。本市の市税条例による減免が介護保険では認められないことによるもので、24万人の1号被保険者のうち2万人を超える人が該当しています。市長、国に対して地方分権の立場からも市税の減免を認めさせるよう強く求めるべきではありませんか。しかも1年後は全額負担です。96歳の寝たきりのお母さんを介護されている68歳の方からこんな訴えがありました。要介護2と認定されたけれども、医療が必要で介護サービスに該当するものが全くない。老衰状態に近い無収入の老人が年間3万5,496円もの保険料を払えるわけがないというものです。本市では、1段階、2段階という生活保護世帯や世帯非課税に被保険者が多いのが特徴です。これ以上の負担増では更にサービスを減らさざるを得ない人が増えることは明らかです。市長、そのようなことが起きないためにも、国に対して保険料の徴収を再検討し、住民税非課税のお年寄りからは取らないよう求めるべきではありませんか。また本市として独自の減免制度を作ることが求められます。いかがですか。介護保険で不幸になる人を生まないために保険者としての本市の積極的な取組を求めます。 次に、児童、少年を巡る問題です。今、子供たちを巡る状況は危機的とも言える深刻な事態で大きな社会問題となっています。いじめ、自殺、児童虐待、少年犯罪も後を絶ちません。子供を巡る事態は、競争原理や大量消費の文化など病んだ日本社会の姿であり、その打開は差し迫った課題です。この下で、今、子供たちの新しい居場所が求められ、幾つかの自治体でその実践が始まっています。東京都杉並区では、児童青少年センターゆう杉並という中高生専用の大型児童館が中高生の新しい居場所になっています。この施設の特徴は、その運営で、中高生運営委員会が設置され中高生自らが自主企画事業や施設の行う事業など運営に携わる委員会活動を行っていることです。運営委員会に参加した高校生はその感動を、人の意見を聴き、人と触れ合って自分自身が見えてくる。そんな機会を与えてくれるゆう杉並は掛け替えのない居場所と語っています。今、子供たちに必要なのは、このような自らの選択にゆだねられた居場所ではないでしょうか。本市では、京都市青少年育成計画に基づいて施策が行われ青年の家が拠点となっています。市政改革で見直し再編が行われるなど全体として縮小計画が進められています。また青少年活動の拠点である青少年活動センターを今年度中に廃止するとし、既に8月には利用者に対し一方的に廃止の通告が行われました。年間7万2,000人の青年や市民が利用し、なくてはならない施設となっています。青年の居場所がますます求められているときに行政の都合で一方的に廃止することは許されません。行政が公的責任を果たすことこそ必要です。存続を求める要望も出されています。青少年活動センターを廃止するのでなく、中高生の居場所として充実させることこそ必要と考えますが、いかがですかお答えください。また京都市青少年問題協議会の青少年施設の総合的整備についての報告では、とりわけ青少年人口の急増地域である右京区、西京区の西部地区に少年施設がない、早急に対応する必要があると指摘しています。一日も早く設置すべきと考えますが、どう対応されるのかお示しください。 次に、児童虐待について伺います。児童虐待の問題は、少年犯罪と併せて大きな社会問題となっています。無認可保育園での虐待による園児の死亡事件や児童養護施設での虐待事件は大きな衝撃を与えました。全国では99年度、児童相談所に寄せられた相談、通報は1万2,411件で前年より6割も増え、厚生省の調査では、虐待によって死亡した児童が98年度41人にも上っています。今年に入ってからも6月までに既に20人が死亡しています。本市でも99年度、児童相談所に寄せられた相談は162件、虐待と認定されたケースは123件と98年度の2倍以上となっています。実際には数十倍を超えているのではないかと言われています。この問題の背景には、生活困難など社会的経済的な問題、家庭で子育てが困難になるなど様々な要因があります。これを事前にどう防ぐのか、起きたときの相談や事後のカウンセリングや援助をどう進めるのかが問われています。本市でも実態調査が行われ、こどもネットワークを作り、児童相談所を中心に虐待の相談、対応が行われ、児童養護施設や一時保護所が受皿となっています。5月には虐待防止法も成立しましたが、社会的な関心も高まり、今後通報、相談が増えることも予想され、行政の役割がますます大きくなります。私は、現場のお話を聞かせていただきました。児童養護施設では、指導員の方が子供たちに寄り添って献身的に取り組んでおられました。虐待など様々な理由で親と離れて暮らさなければならなくなった子供たちは親の愛情を体で感じることができずに育ち、1時間も指導員に抱き付いていなければ落ち着かない中学生、親と一緒に何かをやったという満足感がなく何でも指導員と一緒にやることで落ち着く子供など、指導員は正に親となって子供たちと向き合っておられました。しかも、子供だけでなくその親への対応があります。子育てができない、逆に子供に依存するなど問題を抱えた親自身のカウンセリングが必要なケースばかりでとても両方の対応はできないということでした。また一人一人の子供たちともっとゆっくりかかわってやりたいのにそれもできないとも言っておられました。この二、三年特に経済情勢を反映し、生活破壊から親子の関係が壊れ養護施設に入所する子供が多くなり、一度親の元へ帰ってもまた施設へ戻らなければならなくなっても満杯で受け入れられない。児童相談所からも予約を入れておいてくださいと空きを待つ実態もあるということでした。 そこで伺います。虐待防止法では、国や地方自治体の責務として関係機関の体制の整備がうたわれました。とりわけその窓口となる児童相談所の体制です。急増する虐待への対応は24時間に及びます。通告があれば事例によっては深夜でも休日でも対応しなければなりません。職員は精神的にも肉体的にもくたくたというのが実態です。法律案に対する付帯決議では、児童、保護者に対するカウンセリング個別フォロー体制の充実がうたわれていますが、児童や親の自立支援も重要な課題となります。専門の心理療法士や児童福祉士を増やすなど体制の強化が急務です。どう進めるのかお答えください。また児童相談所は人口50万人に1箇所の設置が運営指針でうたわれていますが、本市は1箇所しかありません。東西に設置することが必要です。いかがですか。また児童養護施設、一時保護所は児童を受け入れるための施設ですが、今でも満杯の状態です。受皿としての施設の増設や設備の改善、職員体制の充実が急務です。いかがですかお答えください。法の施行に向けて国に強く求めるとともに、子育てを支援する本市としての取組を強化することを強く求め質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(今枝徳蔵君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 岩橋ちよみ議員の御質問にお答え致します。 大型商業施設の問題についてでこざいますが、商業は都市の花であり、まちの雰囲気や個性づくりに重要な役割を果たしております。商業集積ガイドプランは、地域に密着した魅力ある商業施設を創造し華やぎのあるまちを実現するため学識経験者、消費者、商業者及び行政の代表で構成する商業集積検討委員会の報告に基づいて原案を作成し、議会及び広く市民の皆様の御意見をいただいたうえで策定したものでございます。その中で都心へ商業を集積する立場と地域構造や都市構造に影響を与えるおそれのある無秩序な商業開発を抑制する立場を明らかに致しております。また島津製作所の開発構想につきましては、本市と致しましても関係機関とも連携をとり島津製作所に対してまちづくりの方針に適合したものとなるよう、更に長寿者の皆さんをはじめ市民の皆さんがゆとりと潤い、安らぎのあるまちになるよう指導して参りたいと考えております。 以下、増田副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 増田副市長。 〔増田副市長登壇〕 ◎副市長(増田優一君) 商業集積ガイドプランまちづくり条例についての御質問にお答え致します。まず商業集積ガイドプランを撤回すべきとの御意見についてでありますが、ただ今市長から御答弁致しましたように、このガイドプランは広く市民の皆様から御意見をいただいたうえで策定したものであり、無秩序な商業開発を抑制し望ましい商業集積を実現するため大切なものでございますので撤回する考えはございません。またまちづくりに関する条例についてでありますが、この条例は、市民と事業者と行政がパートナーシップで良好なまちづくりを進めていこうとするものでございまして、それぞれが地域社会の一員としてその社会的責務を自覚して行動していただくことを前提としているわけでございまして、今後の運用を積み重ねていく中で、もし見直しの必要があれば検討して参りたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 中野文化市民局長。 〔中野文化市民局長登壇〕 ◎文化市民局長(中野代志男君) 青少年活動センターについてでございます。下京区役所総合庁舎計画に伴いまして既に廃止の方針は決定しておりますが、青少年問題協議会の提言を生かしまして各青年の家の事業について必要な見直しを行いまして青少年活動センターの事業を継続していく考えでございます。 また市内西部地域への青少年施設の配置についてでありますが、青少年問題協議会から青少年の自主活動、社会参加のための拠点施設として提言を受けております。今後その趣旨を踏まえまして十分に検討を行って参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 西口産業観光局長。 〔西口産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(西口光博君) 大型店の出店への対応についてお答え致します。地方分権が推進される中で小売業を巡ります経済的、社会的環境の変化を踏まえいわゆるまちづくり三法が成立し、地域の個性と魅力を発揮したまちづくりを推進することが可能となりました。京都市では、このまちづくり三法を有効に活用致しまして、華やぎのあるまちづくりを目指して京都市土地利用の調整に係るまちづくりに関する条例や京都市商業集積ガイドプラン中規模小売店舗設置指導要綱を制定致しますとともに、大規模小売店舗立地審議会を設置するなど独自の取組を進めて参りました。今後もこうした取組により望ましい商業集積を築き、にぎわいのあるまちづくりを進めて参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 井尻保健福祉局長。 〔井尻保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(井尻浩義君) 介護保険関係についてお答え致します。介護保険の利用料についてでございますが、高額介護サービス費の限度額や施設の食事負担額を所得に応じて3段階とすることに加え、国の特別対策により訪問介護の利用者につきましては3年間は3パーセントに軽減することや社会福祉法人による軽減措置を行っているところです。また災害による著しい損害や収入の著しい減少などの場合には利用料の減免措置を講じることとしております。今後とも市民や自治体にとって過重な負担とならない適切な低所得者対策が講じられますよう国に対して要望して参ります。 次に、介護保険の利用実態調査についてでありますが、6月に市内居宅介護支援事業者を対象に制度に対する問題点や要望等について調査したところであります。調査結果では、サービス量は全体的に増加したが、待機となるサービスがあるなどの回答もありました。しかしサービスを積極的に利用するきっかけになったといった市民の喜びの声も聞かれました。事実、サービス利用実績は順調に推移しており、介護保険事業計画で見込んだサービス供給量につきましてはおおむね確保していけるものと考えております。今後も利用者のニーズ等の的確な把握に努めるとともに円滑に事業運営ができるよう取り組んで参ります。 次に、介護保険料につきましては、所得段階別に5段階とするとともに制度施行から6箇月間は徴収せず、その後の1箇年は半額としたところであります。また災害や著しい収入の減少などの特別な事情が認められる場合には減免措置を講ずることとしております。もとより介護保険制度は、高齢者の方々が必要とされる介護サービスを安定的に供給できるよう、その費用を社会全体で公平に負担する新しい社会保険制度であります。保険料は制度を安定的に運営するための必要な財源であります。したがいまして住民税非課税者からは保険料を徴収しないといった無料の階層を設定することは、被保険者全体が応分の負担を行うという相互共済の考え方からも制度の趣旨に矛盾すると思われます。また市民税減免後の状況での保険料算定につきましては、現行の取扱いにおいて法律に基づいた全国一律の考え方で保険料賦課の公平性は保たれていると考えております。本市では、かねてから国の責任において適切な低所得者対策が講じられるよう要望しているところであり、今後、保険料徴収が始まる中でその状況を見極めながら対応を検討して参ります。 次に、児童虐待についてであります。まず児童相談所についてでございますが、本市におきましては、昭和57年に児童相談所を核に児童福祉に関する総合機関として児童福祉センターを設置し、児童に関する様々な問題に総合的かつ専門的に対応できる体制を整えているところであります。児童虐待につきましても診療部門との連携などセンターの特性を生かした取組を進めているところであります。したがいまして児童相談所を複数設置することは考えておりません。また児童虐待に関する児童相談所の体制につきましては、従来から国基準を上回る児童福祉士を設置してきております。更に今年4月には、近年増加する虐待のケースにかんがみ虐待事案に専門的に携わる係長級の児童福祉士を配置するとともに、関係職員の研修の強化など資質向上に努めているところであります。 次に、虐待に係る児童の保護についてでありますが、現在児童相談所に付置しております一時保護所や市内8箇所の児童養護施設及び2箇所の乳児院で対応しているところであります。また増加する入所児童への対応として、既存施設や施策の更なる活用を検討しており、今年度は児童養護施設1箇所においてショートステイ事業や児童の処遇向上スペース確保のために増築を計画するとともに、児童福祉センター青葉寮においても虐待により心理的ケアを必要とする児童の受入れを開始したところであります。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 次に、市政一般について,井上けんじ君に発言を許します。井上君。 〔井上けんじ議員登壇(拍手)〕 ◆(井上けんじ君) 南区選出の井上けんじでございます。日本共産党議員団を代表致しまして質問致します。 まず第1に、不況対策についてであります。最近の新聞報道などによりますと倒産や経済問題を理由とする自殺が増えていると伝えられ、特に倒産については、京都では、みやこ、南京都両信用金庫の破綻の影響が9月以降に表面化することも予想され予断を許さないと言われています。そこでまず2信金の破綻と譲渡の問題について質問致します。ある業界団体のアンケートでも、2信金と取引のある事業所のうち融資を断られた。手形割引で規制を受けた。まじめに返済中なのにこれまでの借入金の一括返済を求められたなどの事例が報告されています。施主がみやこの融資決定を受けられたのに実行保留の形になって工事着工のめどが立っていない。担保の追加を求められた。信金の担当者からは、お宅が引き継がれるかどうか、自分たちの雇用も含めてさっぱり分からないと言われているなど様々な声が寄せられています。中信によると、優良債権しか引き継がないとのことであり、そのランク分け、選別作業が進められています。そのふるい分けがいよいよ今月中にも通告されると言われ、一部ですが先週辺りからその連絡が届き始めています。ある新聞報道では、みやこの貸出金7,500億円のうち引き継がれるのはそのうちの57パーセントにとどまる見通しとも書かれています。引き継がれないのは一体どれだけの数になるでしょうか。不良債権と認定されて整理回収機構へ送られれば新規融資の道が絶たれるだけでなく、一方的な回収が待ち受けていますから不安が広がるのは当然です。事実上の倒産宣告にほかなりません。だから新聞報道でも、9月の倒産はハイペースの兆しと言っています。京都の経済が今重大な岐路に立たされているのです。 ところが一方で、中信の幹部は、府、市がその気になって保証してくれれば引き継ぎは可能だとの趣旨の発言をしておられます。つい先日も業者団体との話の中で、府、市の姿勢の問題でかなり解決すると思うと言っておられます。せめて被害を少しでも軽くする道があるのです。北海道拓殖銀行の例では1億円以下は全部引き継がれていると言われ、今回の破綻もこれに匹敵するものです。 去る1月14日に破綻と譲渡が発表された4日後の18日、我が党議員団は緊急の対策について市長に申し入れました。その内容は、相談窓口の設置、雇用対策、不良債権として処理せず譲渡後も取引が継続できること、当面の資金繰り、緊急融資、長期低利の特別融資、他行・他金庫へのあっせんなどでありました。また5月議会でも我が党東山議員が対策を求める質問をしましたが、このときの局長答弁は、不安が起こらないよう万全を期す、きめ細かな相談を実施、連絡会議で3信金や国に要請していくとのことでした。しかしその後京都市に助けてもらったという話は聞きません。実際、市長は働き掛けや指導はされたのでしょうか、特別の対策は打たれたのでしょうか、万全を期されたのでしょうか。更にこの9月8日、我が党議員団として市長あて重ねて申入れを行いましたが、相談窓口を開いた。国と預金保険機構に対応策を求めている。色々考えてはいるけれども云々と言われるだけで、この間、実際には何も動かれていないということが明らかになりました。中信幹部の言われるように市で保証しますか、独自の仕組みを打たれますか、引き継がれるためにどう援助しますか、約1,800人と言われる2信金の労働者の雇用はどう守りますか。相談を待っているなどと言っている場合ではないのです。そこで市長にお聞きします。分類のいかんにかかわらず営業が継続できるよう市として保証し、犠牲者を出さないよう今度こそ文字どおり万全の策を講じること、また2信金労働者の雇用を確保すること、以上2点について一体どうされますかお答えください。(発言する者あり) 不況対策の二つ目に、公共事業の市内中小企業への発注率を高める課題について質問します。この間、本市の中小企業への発注率は十数年前の83パーセントから今日では64パーセントにまで落ち込んでいます。私の調査によると、例えば御池地下駐車場では、工事の部署ごとの発注は他都市の企業の割合が7割を超えています。市内高速道路は阪神公団発注とはいえ新十条通工事では下請も含めて8割以上が本市の入札参加資格者名簿に載っていないか又は市外企業が占めています。一方ある老人ホームの現場では孫請まで含め3分の2が市内の企業でしたし、更に別の老人ホーム、児童館や市営住宅建設では元請はすべて市内企業などとなっています。地元中小企業への発注率を高めるという立場からいうと、大型事業よりも住宅、福祉、教育などの分野の方が明らかに効果が大きいことは議論の余地はありません。また公共工事着工統計年度報によると、工事金額当たりの労働者数は金額規模が小さいほど多くなっています。雇用効果がそれだけ大きいわけであります。 官公需についての中小企業の受注の確保に関する法律では、中小企業への仕事の確保そのものが目的とされていますし、東京板橋区の住宅リフォーム資金助成制度は、区内施行業者の振興を図るためとの目的が掲げられ地元業者に頼んだ場合助成されますし、明石市でも市内の業者の利用を条件に自宅補修費の10パーセント、限度額10万円の助成をする緊急対策事業を発足させたところ予定以上の応募がありましたが、財政は厳しいが業界への波及効果は大きいと枠を拡げて対応されました。また和歌山市では、市の工事を県外の業者が受けた場合、その下請は市内の業者から選ぶものとするとの市の要綱が作られています。本市でも、配慮してくださいとの遠慮がちな表現ながらできる限り地元の下請業者に発注をという理財局長名の文書が2年前に出されており、また今年の3月議会では地元中小零細企業への優先的発注をとの請願が全会一致で採択されています。例えば学区単位に気軽に老人が通える施設や児童館を計画的に建設する。介護保険の住宅改修をもっと利用しやすいものにしたり耐震改修への援助を強めたりして需要を誘導する。本市の各施設、建物、保育所、学校などの小規模修繕等々考えられることは幾らでもあります。 そこで質問ですが、住宅、福祉、教育や身近な文化スポーツ、防災など本市が積極的に中小向けの仕事を興すべきですがいかがでしょうか。小規模修繕については指名業者でなくても仕事が回るようにしてはどうでしょうか。東京の新宿区では、入札参加資格の審査申込みができない方を対象に小規模工事の受注を希望する業者を受け付けるとの募集が行われています。採択された請願を市長はどう生かされますかお答えください。またこの際、市内中小企業への発注率を高めるために、まずその目標と期限を具体的な数字で設定されますように求めます。併せてお答えください。 不況対策の最後に訪問調査と相談体制についてお尋ねします。この春、南区の地区労働組合協議会では1,000近くの事業所、商店への訪問聞き取り調査に取り組まれました。不況を何とかしてほしい、京都の経済が心配だ、大型店は困るなど切実な声が寄せられています。京都市でも単なる相談待ちでなく事業所訪問調査に取り組むべきであります。また相談窓口を各区役所などで開いていくことになっていますが、おおむね各行政区1回切りの巡回制でなく専門家の常駐体制とすべきであります。答弁を求めます。 次に、マンション対策についてお尋ね致します。家はそれなしには生活ができない最も基礎的、基本的な生活手段でありながら、政府の持ち家政策の下で公営住宅建設が軽視されるなど個人のかい性の問題にされ続けてきました。と同時に、マンションは市民のマイホーム要求にこたえるとともに、適正にその建築や運営が図られるなら良好なまちづくりにも役立ち、また実際、多くの管理組合では健全な住民コミュニティ形成への努力が続けられているなど、今や都市における主要な住居形態の一つにもなっています。行政の立場からいっても、特に大きな買物であるだけに十分な消費者保護が図られなければなりませんし、またまちづくりの観点や住宅政策からの位置付けも必要です。業者への指導、監督、共用部分の修繕への住宅融資の適用、給排水設備の維持管理への企業負担の指導、固定資産税の減免対象の拡大、耐震診断と防災改修への助成など独自の課題が少なくありません。計画的に修繕、改良し良好な住宅ストックとして維持することはより良いまちづくりや資源の浪費を防ぐ点からも重要な意義があり、管理の基本的な責任は所有者と管理組合にあることは当然ですが、国や自治体にとっては、その住民の共同管理を支援することが求められています。とりわけ初期にできたマンションが老朽化の時期に差し掛かってきていることや高齢化が進んできていることなどから大規模修繕をどうしていくか、融資の受け方、資産管理の在り方等々、今日的な問題も生まれています。こうした現状の下で、いよいよ建設省も政令市の相談窓口の設置運営への経費補助、耐震診断や改修の補助などマンション総合対策に乗り出し始めています。既に大阪や横浜、川崎などで相談窓口が開設され、大阪では耐震診断、改修への助成が実施され始めています。 そこで質問します。一つは専門知識を持つ職員を配置し、専門家、専門家団体との連携、支援体制などを備えた相談窓口を設置すること。二つには管理組合の活動状況など本格的な実態調査をすること。三つ目に耐震診断や耐震補強、改修への援助及び長期修繕計画作成など管理組合の取組を支援すること。以上3点についてお答えください。 次に、精神障害者施策、精神医療について質問します。私の住む南区で、4年前、50歳前の女性が心臓発作で脳の一部に酸素が送られなくなり、若年痴呆と言われる症状になられ、今精神障害者手帳をもらっておられる方がおられます。介護体制や、特に施設や医療機関への送迎の体制や費用が大変だとのことでありますが、同じ手帳でも、せめて身体障害者手帳並みに制度を充実させてもらいたいとの御家族のお話であります。今日、広い意味での精神疾患は誰でもが掛かり得る病気、障害であり、その人数も増えており、またその種類や態様も色々です。早期発見、早期治療や生活支援、社会復帰の体制の確立など総合的な対策が求められています。しかも、その担い手は法律の改正によって京都市の仕事となりました。これまでの後れを取り戻し施策を前進させることが切実な課題となっています。以下、市長の見解を求めます。 第1に、心のふれあいプランについてですが、地域生活支援センターやグループホームなどその目標達成のめどはいかがでしょうか。特にヘルパー派遣については目標すら上がっていません。更に共同作業所についても全然位置付けがなく、評価も将来の発展方向も何も触れられていません。本来、公的な責任を果たすべき行政の立ち後れの中でやむなく家族や関係者の皆さんが必死の思いで作ってこられたものですから、民間がやっているから補助するんだという考え方は全くの主客転倒です。ヘルパーの目標と見通し、共同作業所の位置付けや将来方向について答弁を求めます。 第2に、体制についてですが、保健所と心の健康増進センター、医療機関、福祉事務所、支援センター、授産施設や作業所、職安、職親など各施設、機関が連携を強めていくうえで、当面、保健所と心の健康増進センターの体制強化、特に保健所における精神保健福祉相談員の複数化が必要です。センターも相談への対応に追われておられます。施策を支える体制や人員について、その充実や増員の方向についてお答えください。 第3に、医療についてです。救急緊急のシステムを早急に確立することが求められています。府との協議はいかがでしょうか。具体的な検討内容を明らかにされるように求めます。また法改正により医療保護入院における移送制度も京都市の役割になりました。体制整備を急ぐべきです。併せてお答えください。 最後にいわゆるホームレスの人たちについて質問致します。最低限の衣食住を保障し、市民が文字どおり生きていける環境を確保することは基本的人権の根幹にかかわる問題であると思いますが、常々人権を強調しておられる市長としていかがお考えでしょうか。訪問活動の中で私が出会う人のほとんどは、仕事を紹介してほしいと言われます。ある日突然解雇でローンが滞り、背広姿のままホームレスになられた方もおられます。深刻な不況、リストラ、失業や廃業など仕事にかかわる原因が第一義的なものであるとともに、最後のより所でもある生活保護行政がこの間この人たちにどう対応してきたかということもまた背景の一つとして挙げられなければなりません。やっと実態調査も行われ、この結果を生かすことが求められています。この1年でホームレスになった人7割、市出身者4割、収入3万円以下8割、体調不良5割、仕事を求めている人9割以上などの数字が明らかになりました。倒産防止やリストラ規制など不況対策、労働行政からの対策と共に当面、本市としても次のような手立てが必要です。 そこで質問します。まず保護所の増設、当面、簡易旅館の借上げなども含めて、まず寝泊まりする場所を確保することです。特に緊急の問題として、最低、年末年始の食事と宿泊を希望者全員に提供するように求めます。多くの大都市では提供しています。 次に、仕事についてですが、京都の有効求人倍率は45歳以上は100分の12、55歳以上ではわずか100分の7で、仕事が見付からないのを本人の責任にすることは到底できません。誰よりも働きたいと願っているのは本人自身なのですから、国や府にも声を上げるとともに、本市としても独自に仕事の確保やあっせんなどを行うべきであります。 第3に、生活保護についてです。厚生省は、働く能力や住居の有無を理由に排除しないこと、福祉事務所での多様な相談体制を整備することなどの方針を明らかにしています。この方針どおり、本市でも具体化すべきです。住まいがなくても受けられるようにすべきです。家がないから保護しないというのではなく、保護して住まいを提供するのが市長の役割ではないのでしょうか。本来これらの人たちは生活保護対象のはずだと思いますが、いかがでしょうかお答えください。更にホームレス対策は事実上、下京福祉事務所だけになっています。体制も充実させつつ、それぞれ現在地で申請や相談に対応できるようにすべきだと思いますが、併せてお答えください。 以上、各項目について積極的な御答弁をお願い致しまして、第一質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(今枝徳蔵君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 井上けんじ議員の御質問にお答え致します。 京都経済にとり大変重要な問題と認識致しております信用金庫の再編につきましては、事業譲渡発表後、直ちに京都府と一体となって連絡会議を立ち上げ、金融監督庁、大蔵省等に対して融資の継続や職員の雇用確保の指導を強く要請して参りました。更に関係3信用金庫には円滑な資金供給を、そして預金保険機構には最大限の支援をそれぞれ要請し、その結果、京都中央信用金庫におかれましては債権の引受けや職員の再雇用に大変な御努力をいただいているところでございます。債権の振り分け通知がなされる中、中小零細企業の方々からの相談等に対し、京都市と致しましてはより一層きめ細かく対応して参ります。同時に、国や府等と十分な連携の下、あらゆる制度を最大限活用し懸命に努力しておられる関係中小零細企業の方々に断じて不安が起こらないよう万全を期して参りたいと存じております。 以下、高木副市長、保健政策監及び局長が御答弁申し上げます。
    ○副議長(今枝徳蔵君) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木寿一君) 地元中小企業への発注についてのお尋ねでございますが、京都市では、市民に必要なあらゆる事業につきまして、これまでから地元中小企業への発注を基本としてきたところでございます。都市基盤整備のために不可欠な大規模公共事業につきましても分離分割発注をはじめとした受注機会の拡大を図ることはもとより、一定以上の技術力などが必要とされますものにつきましても共同企業体方式を極力活用するなど可能な限り地元中小企業への優先発注に努めております。なお本市の中小企業向け契約実績は国が掲げます契約目標を大幅に上回っておりますが、今後とも引き続き公共事業の推進に当たりましては、地域経済の活性化、地元中小企業の育成につながるよう努めて参りたいと存じます。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 西口産業観光局長。 〔西口産業観光局長登壇〕 ◎産業観光局長(西口光博君) 事業所への訪問調査と相談体制についてお答え致します。産業観光局におきましては、これまでから担当職員が業界、組合並びに各企業へ足を運びまして実態の把握に努めますとともに、業界団体の御協力もいただきながら産地診断事業をはじめ西陣機業調査等各業界の実態調査を実施しているところであります。また相談体制につきましては、中小企業指導所におきまして平成10年7月から不況克服のための特別相談窓口を設けており、更に昨年度からは中小零細企業者の便宜を図るため京都商工会議所と共催で全区役所並びに支所を巡回する不況克服巡回相談特別窓口を設置し、専門家による金融、経営、法律、税務等のあらゆる内容の相談の応じており万全を期しているところでございます。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 田中保健政策監。 〔田中保健政策監登壇〕 ◎保健政策監(田中義枝さん) 精神保健福祉対策についてでございますが、平成11年3月に策定致しました京都市心のふれあいプランに基づき、保健、医療、福祉の各施策を着実に推進しているところでございます。お尋ねのホームヘルプサービスにつきましては、障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会を設け、精神障害者のホームヘルプに関するニーズや派遣体制をはじめとした各種支援体制を検討することと致しております。また精神に障害のある市民の地域における働く場や生きがいのある生活の拠点となる共同作業所につきましては、設置数を本プラン策定時の12箇所から現在22箇所へと大幅な増加を図るなど事業の充実に努めているところであります。 次に、精神科救急医療システムの構築についてでございますが、これまで実施主体は都道府県とされており、京都府におかれてもその構築に向けた協議が進められてきたところであります。しかしながら、この度法改正により指定都市も実施主体とされたことから、本市と致しましては京都市精神保健福祉審議会などの関係機関の意見を聴きながら、京都府と連携してシステムの整備に取り組んで参りたいと考えております。更に緊急移送制度が創設されたのを受け、現在京都精神病院協会をはじめとした関係機関及び団体と実施に向けて協議を重ねており、本制度の早期実施に向けて取組を進めているところであります。今後とも市民の皆様が安心して気軽に相談できるよう精神保健福祉相談員の養成を引き続き行うとともに、保健所と心の健康増進センターとの連携の強化などに努め、市民の皆様の御理解と御協力を得ながら精神に障害のある市民の方々の自立と社会参加の促進を図って参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 井尻保健福祉局長。 〔井尻保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(井尻浩義君) いわゆるホームレスにかかわるお尋ねでございますが、ホームレスの方につきましては、依然として厳しい雇用状況の中、本市においても増加傾向にあることから、その実態を把握し今後の施策の参考とするために本年6月に実態調査を実施致しました。目視調査の結果、市内に約500人の方が確認され、約100人の方からの聞き取り調査では年齢は平均で54.3歳、建築土木作業など何らかの仕事に従事している方が不況の影響により失業してホームレスとなり、また行政に対しては多くの方が福祉施策よりもむしろ仕事のあっせんを要望されていることなどが明らかになりました。本市におきましては、従来から生活保護の適用やパン、牛乳の支給並びに年末年始対策などの福祉施策を実施しておりますが、仕事のあっせんにつきましては国の責任において解決されるべきものであり、このため本市と致しましては、今回の実態調査を踏まえまして国に対して要望を行って参ります。 次に、ホームレスの方に対する生活保護の適用につきましては、これまでから下京福祉事務所をはじめ市内の各福祉事務所において生活相談を行い、個々の状況に応じて中央保護所への入所や入院により生活保護の適用を行っているところであります。今後とも必要な援護施策の実施に努めて参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 西都市計画局長。 〔西都市計画局長登壇〕 ◎都市計画局長(西晴行君) マンション対策についてでございますが、既に建設省が昨年度から総合的なマンション対策を打ち出しております。本市におきましても、市民がマンションを生活の場として安心して購入し快適に暮らし続けることができるような生活者の視点に立ったマンション対策を実施し、また次世代に引き継げる良質なマンションストックの形成を促進することが必要との認識から、マンション対策における行政の役割等について本年度調査研究に取り組んでおるところでございます。都市の居住形態として定着し、なお増加を続けているマンションが適切に維持管理されることは市民の居住の安定を確保し、また良好なまちづくりを進めるうえで重要であると考えております。このため現在住宅審議会におきましても住宅政策の主要なテーマの一つとして審議いただいているところであります。今後審議会の答申をいただき、京都市住宅マスタープランの見直しを行う中で適正なマンションの維持管理を推進するための方策について検討して参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 井上君。 〔井上けんじ議員登壇(拍手)〕 ◆(井上けんじ君) 2信金の問題に絞って第二質問を致します。5月に産業観光局長が万全を期すと言われたのに、その後何ら手を打たれていないという今日の経過を踏まえて質問しているわけですから、同じ答弁では実践どころか議論自体としても何ら発展はありません。極めて不十分です。これでは不安が起こらないようにという市長の言葉も、その決意の程度に不安を感じないわけにはいきません。普通の商売をしていたのに地獄の底まで道連れにされるのは納得がいきません。これが市民の声であります。今、京都の経済が重大な岐路に立たされています。京都市が保証するのかどうかが問われているのです。中信の幹部は、保証を取り付ければ引き受けると言っておられます。この点で行政の役割が大切だと言っておられるのです。正に市長の決意に懸かっています。今度こそ文字どおり万全を期されるように重ねて求めまして質問を終わります。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 次に、市政一般について、梅林等君に発言を許します。梅林君。 〔梅林等議員登壇(拍手)〕 ◆(梅林等君) 2001年、京都は歴史を有する世界の都市の中で最初に新しい世紀を迎える都である。京都は、歴史と伝統の礎の下、先人たちのたゆみない努力により常に時代に先駆け新しいものを創造し続け、幾多の苦難を乗り越えて千年を超える時を刻み続けてきたまちである。新しい千年紀の始まりに位置する21世紀の幕開けを迎えるに当たり、この千年を振り返りつつ、全世界に向け21世紀へのメッセージを発信するには、1200有余年の歴史を有するとともに今日においてもなお生き生きと息づく都市京都がその役割を担っていかなければならない。 20世紀は科学技術が花を咲かせたサイエンスの時代であり、物質文明が驚異的な発展を遂げ、物の豊かさを享受できた時代であったが、その反面、2度の世界大戦をはじめとする数々の世界紛争や人間疎外から環境破壊に至るまで克服すべき様々な課題を突き付けられた時代でもあった。新しい世紀を示すキーワードは環境、平和、人権であり、正に共に生きる心の豊かさが求められている。来るべき21世紀は、これまでともすればないがしろにされてきた心の気高さや精神の尊さを再構築し、人類がその生来有する良心や人間性を豊かに開花させる時代でありたいと願う。 私たちは、新世紀を迎える節目の時を契機として多くの市民の創意と英知、そして行動力を結集し、人類の平和と繁栄を希求する21世紀新時代のメッセージを日本の心のふるさと京都から発信するとして、21世紀京都の進むべき方向を指し示しつつ、過ぎ行く2000年の12月31日から新世紀幕開けの1月1日にかけて大文字五山の送り火をメーン行事に火の祭典、21世紀の火など数々の記念行事を実施するため、市民と共に今その準備を進めています。 世紀が変わるといっても単なる時間の経過にすぎないと冷めた見方をする人もいますが、私はそうではないと思っております。人間の内なる深層意識の集積が大きな流れとなって社会を変化させるエネルギーに転化していった過去の事例を多く知っているからであります。京都市民がこの記念行事の中から考え、改めて学び感じるものがあれば21世紀の京都にとってそれは大きな収穫と言えます。 20世紀はどのような時代であったかという総括、そのうえに立って21世紀のあるべき都市像の設計、21世紀における市民社会、市民生活の方向性、在り方について丁度二つの世紀にまたがる節目に市政を担当する桝本市長の基本的な理念をまず改めてお示しいただきたいとここで決めたいところでありますけれども、市長の抱いておられる理想、選択、希望、思いだけをお聞きするだけの場ではないとも考えています。新基本計画づくりのための壮大な21世紀・京都グランドビジョン策定から具体的な実現に向けては、かつてのベルリンの壁、鉄のカーテン、38度線と同じように立ちはだかる現実の分厚い壁、バリアをクリアしながら進んでいかなければならないからであり、私は、それらのことを踏まえて数点について質問致します。 まず21世紀の自治体運営の基本であります地方分権についてであります。間もなく12年になりますが、私が市議会に議席を得たときの市長は、古都税紛争の渦中に巻き込まれ退任された方でしたが、その後すぐ医師出身の市長が就任されるという時期でした。前の市長には、アカウンタビリティ、説明責任とディスクロージャー、情報の開示を、その後のドクター市長には、丁度今、相次ぐ医療事故、医局の閉鎖的体質について国民の非難が噴出し、医療の情報開示、閉鎖的体質改善が求められていますが、医療界でいうインフォームド・コンセント、説明と同意、更に医師と患者の関係と同様に行政と市民の対等の関係がこれからの行政には基本的に不可欠であると機会あるごとに申し上げていました。 住民が一番身近な自治体に日常の生活上の要望、要求を出すのが当たり前であるにもかかわらず、それが満たされないことに対する不満が蓄積し、自治体行政に対する不信が醸成されていく。逆に中央メニューを補助金で誘導する、行政で決まった計画が地域に下ろされてきて通知説明だけの場が設けられ、住民の反対運動、告発型の市民運動が巻き起こる。計画変更のできない段階で職員は住民説得のために多大のエネルギーを費消し消耗するというパターンが繰り返されてきたのであります。いわゆる上下の関係である措置という制度が基本形になっているのであります。住民が住み、暮らし、憩うまちづくりの政策決定過程、意思決定段階での市民参画、提案型市民運動が不可欠であるにもかかわらず、形式的にはともかく、あるいは京都市のように可能な限り努力を傾注しているとしても、実質的には3割自治、余りにも限られた市長権限の実態が、中央集権システムの実態が明らかにされない中で自治体行政に対する市民の不満、不信を生み、職員のモラールの喪失につながっているということを議会人となって何よりも強く感じたからであります。 しかし自治体の首長としてそのことを頭の中で理解していても、冒頭に申し上げましたように現実の分厚い壁をクリアすることができない、あるいは国依存型の行財政システムの囲いの中で安住する方向を選択する多くの首長、自治体行政マンの存在もまた現実の状況であります。各局ごとの通年の東京詣での迂回路に費やす膨大なエネルギーの総量を地方自治の政策づくりの直線回路に向け転換、集中することにより、職員のやる気、仕事への仕がい、意欲が起こり、結果的に士気も向上、自由で新しい発想、創造力が生かされる市民の市民による市民のための本来の地方自治体行政、市役所になることができるのであります。 7年前、私は地方分権をメーンテーマに本会議で初めてこの基本的な問題を採り上げ代表質問に立ちました。藩閥体制の古典的地方自治体体制から明治政府の脱亜入欧、富国強兵政策の必要性から廃藩置県による中央集権化、第2次世界大戦敗戦、そして地方自治法の制定も空文化させる新中央集権体制への新たなる構築により税財源、許認可権等の権限の中央集中が、夏の予算獲得大会から翌2月段階の箇所付けの時期までの自治体、業界の陳情スタイルを生み出してきたのであります。正に蝟集という言葉どおりであり、私も何回か東京に参りましたが、あの陳情光景はとても近代国家とは言えないし、その渦中から発生する汚職メカニズムは後を絶たず、その当時の事件だけでも造船疑獄、武鉄疑獄、大阪タクシー汚職、日通事件、ロッキード事件、砂利船汚職事件、佐川事件などその質問の中でも挙げていますが、状況は今と少しも変わっていないのは御案内のとおりであります。 私の代表質問の後、理事者の答弁から地元紙のコラム欄に、地方分権の質疑があったが地方分権はまだ遠いと書かれていました。しかし、次第に変化してきたのは、これはおかしいとする国民意識、市民意識であります。そしてその市会で、明治以来の中央集権的行政システムは不公正、非効率、腐敗政治の根源となっている。国は国の根幹に関する行政のみを担当し、住民の生活や地域に関することについては住民の個性や地域の主体性が生かされる分権的行財政システムに転換することが不可欠とする地方分権推進に関する法律の制定を求める意見書が、地方分権を前面に出した意見書を採択している議会は少ないと言われる中で京都市のこの本会議場で採択されたのであります。そして翌年、この地方自治の最も基本的な問題の少しずつの状況の変化、少しずつの進展の方向を自治体議会の立場から追いながら、私はこの議場から地方分権について再び発言を続けました。 こうした地方分権、行財政改革を求める国民世論を背景に93年、第3次行革審の最終答申が出され、地方分権推進のための法律の制定が提唱され、衆参両院で地方分権の推進に関する決議が採択、95年地方分権推進法が成立、その法律に基づいて地方分権推進委員会が発足、96年に第1次勧告、97年に第2次、第3次、第4次勧告、98年に第5次勧告、そして昨年99年7月、地方分権の推進を図るための関係法律の整備に関する法律いわゆる地方分権一括法、地方分権整備法が成立し、本年4月施行となったのであります。 地方分権が推進委員会で議論され市民の関心が高まってきたころ、京都市主催の地方分権シンポジウムがアバンティホールで開催され、評論家の樋口恵子さんがゲストスピーカーで参加し議論が展開されました。このシンポで一番印象に残った発言は、先の市長選挙が最終に近付いたとき、急逝された女性団体リーダーのTさんが、これからは国からお金を取ってくるという国会議員には投票しないことですと言われた言葉でした。しかし、平成13年度国家予算に関する要望書の146万人の市民の暮らしが息づく都市として発展していくためには国の御理解と御協力なくしては解決できない課題が数多くございます。つきましては、本市の実情を御賢察いただき、平成13年度の予算編成に当たりましてなお一層の御配慮を賜りますようお願い申し上げますと前文に、重点要望事項として保健、福祉、教育、環境、人権、生活、道路、交通、基盤整備、住環境、産業、観光、文化など市政全般にわたる数十項目を国にお願いする内容であります。同じく12の指定都市共同の国家予算に関する要望書に、地方分権一括法が施行され、地方分権の推進が実行の段階を迎えたと言いながら、是非とも国の御理解と御協力を得なければ解決できないとしているのであります。多言を要しません。全く例年どおりのこの要望書がいみじくも我が国における地方分権の在り姿をそのまま示しているのであります。 10日前、我が民主党は高知県の橋本大二郎知事と宮城県の浅野史郎知事を招いて、分権社会を目指して、今、何をすべきかと題したパネルディスカッションを開催しましたが、7月18日の全国知事会の様子を報じた新聞の囲み記事に、補助金を下さいとお願いしてばかりでいいのか、64ページの来年度政府予算への要望書の中に補助金増額のお願いが数行をおかずに出てくる。このことにいら立ちを覚えている知事さんたちの発言を伝えていました。市税の減収、税の公平性の観点から地方税の徴収率アップの努力はもちろん必要でありますが、同じ観点から中央に対しても自治体として毅然とした姿勢が求められているのではないでしょうか。 昨年9月1日付けの市民しんぶんには、見出しに地方分権が大きく前進、中身には、現段階では政令指定都市への更なる事務や税財源の移管等、課題が残されていますがと書いていますが、自治体財政の破滅の危機の原因がどこにあるのか、自治体サイドとしては、この中身部分こそ地方分権の核心であり強調すべきであるのに、大きく前進という見出しを書く認識度に疑問を抱かざるを得ないのであります。 去る7月31日、京都市は平成11年度の一般会計決算の概況と平成12年度予算の概要から分析した京都市財政のあらましを発表しました。決算概況によりますと、総括で平成11年度決算は市税収入が2年続けて前年度を下回るなど極めて厳しい経済情勢と財政状況の中で、基金の取崩しによる財源対策や経費の節減に努めたものの実質収支で約4億円の赤字となり、昭和57年度以来17年ぶりの赤字決算となる見込みであると述べ、今後の財政見通しでは、脆弱な財政基盤に立つ本市財政は、歳入の根幹を成す市税収入に伸びを期待できず、一方歳出面で少子高齢社会への対応をはじめとした行政需要や累増する公債費負担などに多額の財政需要があることから恒常的な財源不足状態にあることに加えて、財源不足対策として活用できる基金の残高が底を突くなど今後も一段と厳しさを増す状況にある。このため京都新世紀に向けた市政改革行動計画の取組に続いて、新たな行財政改革に更に積極的に取り組むとともに国に対する要望活動の強化、京都経済の活性化による財政基盤整備の強化に努めることが必要であるとしています。 財政基盤の確立のために行財政改革の一層の推進と国への要望強化、京都経済の活性化を挙げていますが、あとの2点は京都市の主体的、自主的な意思だけで事態を処理することができない問題であり、残るのは行財政改革だけであります。行財政改革とは歳出の抑制だけでないことは言うまでもありません。そして、ここに記述されているのは京都市財政の現況はこんなに厳しいのであります。今後5年間、毎年375億円から約540億円の財源不足が生じますという結果だけであります。今年の流行語大賞に結果としてという言葉が有力だとうわさされています。結果として、このような状態になったのは事実でありますが、結果が生まれるのには必ず原因があるはずであります。その原因が明らかにされなければなりません。これが因果関係と言われるものであります。 先ほど申し上げましたが、私が議員になったのが12年前であります。在職期間が丁度バブル経済の絶頂期、崩壊、そして現在まで続く不況、不景気の失われた10年の期間であったわけであります。10年前の90年6月の本会議でバブル経済について採り上げました。その質問要旨の一部だけを当時の状況を振り返るために抜粋します。 最も大きな要因は、金融政策の総元締である日本銀行が異例の自己批判をし、既に世論から厳しく指摘されていますように、やはり金融機関や生保、ノンバンク系などの余剰資金力の動員による土地投機に対する融資、特に企業に対する巨額の融資であります。近年の地価上昇に合わせて、これらの貸付残高が増えている事実から相関関係は明らかであり、その額は銀行の不動産向け融資残高が45兆円に達していること、ノンバンクを含めると正に90兆円に上り、生保関係を含めると更に巨額になるのであります。 我が国の企業は今あらゆる手段を駆使して空前の利益を上げています。資本金10億円以上の大企業3,220社の内部留保額は74兆1,516億円にも達しています。そして更に内需を拡大するためであった大幅な金融緩和政策を利用して、その融資で土地を買いあさり、更にその土地を担保に膨大な資金を調達して別の国内の土地を求め、地価を高め、結果的には保有地の資産価値をアップさせる、あるいは海外の土地を買い占めるという図式を繰り返しているのであります。そして今や企業の地価高騰等によるその含み益は70年に比べて12倍の434兆円に達しています。ちなみに国土利用計画法の土地利用勧告制度では、取得後2年以上放置している土地を低未利用地としていますが、国土庁の資料によると、企業の持つ事業用の未利用地の78パーセントは具体的な利用計画がなく、土地を購入しても当初から利用する意思のなかった企業が50パーセントもあったということであり、全く含み益狙いの土地購入であるわけです。 これが10年前の質問内容の一部であります。不況、不景気は自然現象ではありません。そのバブル発生の土壌を作ったのが85年のプラザ合意、内需拡大政策、日銀の金融緩和策、そして銀行、証券会社の不動産担保への超過剰融資であり、むちゃくちゃな土地価格の上昇、地上げ屋の跳梁が町並みと地域共同体、人心、社会の荒廃状況を作り上げたのであります。正に社会的狂気の時期であったのです。そして当然の結果としてバブルがはじけ、今、銀行と大企業の膨大な不良債権の残滓が発生源の動かぬ証拠となっているのであります。このことがまた長すぎる失われた10年と言われる日本経済の今日の状況の原因となっているのであります。余りにも深い傷跡を残しているのであります。 今、不況克服、景気回復があたかも至上命令となり、その原因と政策責任問題が先送りされる中で究明されることもなく60兆円余の金が日本発経済恐慌を防止するため預金者保護の大義名分で次から次へと公的資金が投入されているのであります。我が国の金融機関に支配を強めている外資によって大企業が倒産に追い込まれていますし、ゼネコン、流通グループに対する借金棒引きも横行しているのであります。バブル劇主役の金融機関は、公的資金の投入を受け、不況の中で苦しむかつてのお得意先の中小企業を見捨て、融資の回収、貸し渋りで倒産、破産に追いやっています。 7月の京都の企業倒産件数、負債総額は過去最高となっています。倒産、失業率は一向に改善されず、倒産、リストラによる中高年者の自殺の急増、過労による死亡、ストレス病、ホームレスの増加、家庭崩壊が深刻化しています。その銀行は、片方で年金生活者など預金者への超低金利政策で30兆円余の利ざやを稼ぎ、更に貸付金利の高い商工ローンには多額の融資をし、その利ざやを不良債権処理の原資に充てているのであります。また金融機関による貸し渋り対策の信用保証協会の債務保証残高が急増、代位弁済額も過去最高を記録し、高い事故率が保険賠償超の自治体負担、補助金が自治体の財政を圧迫する要因となることが懸念されています。しかもその融資額の中から銀行は自行の貸付金を優先的に回収するというベニスの商人顔負けの行為すら行っているのであります。その結果、国と地方の借金は645兆円と言われていましたが、隠れ借金8兆円を含め、12年3月末の国の借金は55兆円増と膨らみ続けています。地方財政も同様であります。市債残高は11年度末で9,141億円に、本年度末には1兆380億円に達する見込みであります。 これはG7の国及び地方の財政収支を表したグラフであります。ほかの国の上昇と我が国の下降線を表しております。今朝の新聞でも報道されていますが、IMFは世界経済4.7パーセントの高成長を予測し、日本には懸念を表明しています。先ほど因果関係と表現しましたが、因果応報が今日の状況であり、日本の公的債務は90年の国内総生産比60パーセントから120パーセントにまで上昇してしまっているのであります。GDPが500兆円、仮に成長率2パーセントを達成したとしてもGDPの年間増加額は10兆円にすぎないのであります。京都市財政の厳しい現況が不況、不景気、減税による法人市民税の落ち込みによるとするだけの結果説明でいいのか、市の税収回復の最も重要なファクターである個人消費が伸びない理由は。市債残高が過去最高に膨れ上がった理由は何か。政府の景気浮揚策による公共事業の自治体負担増の内容は。いわゆる財政錯覚で事業を膨らましてこなかったか。交付税措置の見通しは。政府は2000年度予算の公共事業等予備費5,000億円の早期執行のため地方負担分を9月議会に補正予算に計上するよう求めています。この負担分をどうするのかお答えいただきたい。 また、今市会に提案審議されています上下水道事業の料金、使用料アップ問題についても同じであります。市民生活の健康、衛生上不可欠の上下水道をいかに維持、保持していくのか。現在の不況下の市民生活を守るために料金、使用料をいかに抑えるかでありますが、結果的には現行制度の下では一定の決められた条件の中でしか議論でき得ないのであります。赤字の先送りか、一般財源からの税投入か、受益者負担か、人件費圧縮を中心とした企業内努力か。その負担割合、調整の議論、三方一両損、正確には三方一両負担の議論になっていかざるを得ないのであります。これが地方自治体の現状、置かれている実態なのであります。 次に、地方分権に関連する点を1点、財政に関連する点を1点質問します。昨年8月国旗国歌法が成立し、戦後半世紀にわたる論争に法的な面での決着が付きましたが、一人一人の内心の領域を侵さないことは当然であります。今日、私が地方分権に関連するこのことを申し上げたいのは、学校には校歌があり校旗がありますし、全国都道府県、市町村にもそれぞれ自治体の歌と旗があります。企業にも社歌や社旗があります。我が京都市にも市の歌があり、市の旗があります。もっとも私個人としては、ある作家が言っていましたように、ヒット曲のテネシーワルツを州の歌にしているテネシー州、国歌2大名曲と言われているアメリカの星条旗、映画カサブランカで観客を感動させたフランス国歌のラ・マルセイエーズの酒場でのレジスタンスの合唱シーン、サッカーのワールドカップ優勝でシャンゼリゼ大通りで歓喜した数十万人の市民が歌う国歌、酒場で、ビヤホールで、街頭で国民が、市民が、腕を組んで合唱できるような歌ならと思うのでありますが、威儀を正して整列し、整然とした場所で深刻な顔付きでしか歌えないということに国民の、市民の歌になり切れない問題があるのではないかと思っていますし、若い世代もなじめないのではないかと思われるのです。 話を元に戻しますが、歌や旗のほかにもその地方、自治体ごとに特色を表し、住民に愛されている樹木や花、鳥、シンボルなどが決められています。地方で国際会議や国家行事、セレモニーが開催されるとき、あるいは国の出先機関の行事のときは国旗が掲出されていいのですが、自治体が主催する諸行事の場合は自治体の旗が中心になるべきだと考えています。議会も行政側も、欧米の各都市を毎年訪問していますが、どの都市の市庁舎、議事堂も市旗の掲出が普通なのであります。 これは昨年、姉妹都市イタリアのフィレンツェ市議会の本会議場を訪ねたときの写真であります。これは姉妹都市チェコのプラハ市のマンホールに施されているプラハ市の紋章であります。自治体の、そして住民の本当のシンボルであり誇りなのであります。これが地方自治の本来あるべき姿勢なのであります。この際、地方自治体としての見解を求めておきたいと思います。 次に、京都市財政の現状との関連で1点質問しておきます。京都市庁舎の建替え問題についてであります。この問題につきましても9年前に本会議質問をしていますが、現庁舎は大正14年に起工、坪数3,000坪、工費124万1,000円、昭和2年竣工、当時の組織は総務、教育、産業、保健、水道の5部制から、しばらくして2局5部25課制となり、職員数は870余名、現在の9局38室部102課と比較すれば状況は歴然であります。平成2年度から市庁舎整備基金の積立てを始めましたが、現在置かれている条件の中で抜本的な対策を講じるのは極めて困難であり、むしろ他都市から見て建設が遅れアンカーになっていることを幸いにして、21世紀の国際化、情報化、経済のソフト化、サービス化などの高次の都市機能に対処でき得る他都市庁舎より優れた庁舎を目指すべきだと提言し、それまでの間、現庁舎の改善策について数項目の提言をしました。国際文化観光都市として外国からの訪問者のための玄関の英語版庁舎案内板の設置、バリアフリーのための可能な限りの施設の改善点について、市役所前広場を駐車場から市民の自由広場に開放することなどであります。 しかし、その後モニター調査、検討委員会の設置、有識者による新庁舎整備懇談会の提言を受けて、庁内に新庁舎建設基本構想策定委員会、市会にも防災・市庁舎建設特別委員会を設けるなど10年の時間を掛けて建設を目指しての議論、検討を続けてきました。ところがこの7月に突然先送り、凍結を市会特別委員会に提案してきました。率直に言って、私自身も新しい時代における新市庁舎の建設問題は、建設場所等の問題だけでなく、来年1月の中央省庁の再編問題と地方自治体の組織編成の関連、縦割り組織の部課制からフラット・ネットワーク型の組織形態への変革の必要性、地方分権の本格的な確立時の自治体の組織編成、区役所機能の強化拡充、サテライト方式の可能性、IT革命によって確実に変化が予見できる職員の職位職階制と代議制度、デジタルガバメント時代の事務事業の見直し、デジタル経済の拡大の中での公共サービスの分担議論、PFI、アウトソーシング導入の是非等々について、9年前は他都市のアンカーとなったことを幸いにとしていましたが、今は、1周遅れのトップランナーとして、近未来の自治体事務の変化を予測し、全方位の議論に費やす時間として遅れたことを生かす方が良いと考えています。 この点についてと7月3日の突然の先送りの発表についてであります。市財政の厳しい状況は、今年になって予期せざることが発生して厳しくなったわけでないことは先ほど市の財政状況の質問の中で述べましたが、市庁舎建設の所管局は主要管理3部局の一つである総務局であります。今日に至るまで市の財政状況を把握せずに、その関連性を考慮せずに、正に砂上の楼閣議論を進めてきたのは部局間の情報伝達、調整機能、庁内体制、機械的画一的な人事異動制度の弊害部分などに問題があるのではないかと危惧するのでありますが、お答えいただきたい。 次の質問に入ります。連日、マスコミに報道されない日がないくらい採り上げられ、今やDVというだけでほとんどの人が理解されるようになってきましたのがこのドメスティック・バイオレンス問題であります。95年、私が初めて本会議質問でDVに関する質問をした当時から見れば、市民の関心度はかなり高くなっていることを感じます。パートナーからの暴力におびえ、悲鳴を上げ、SOSを発している女性に対する各国の取組、欧米あるいは近くの韓国での積極的、具体的な対応策について例示し、自治体としても啓発活動はもちろんのこと、シェルター設置などの対策に取り組む必要があるのではないかと質問しました。しかし、当時はまだ行政側の認識も低く、売春防止法第34条、売春を行うおそれのある女子の保護施設として設置された府の女性相談所などと連携をとり対処するという程度のものでありました。そして更に3年後の98年にも本会議でこの問題を採り上げました。家庭内の問題とされていたDV問題が今日では社会的問題として早急な対応策を求める内外の世論の高まりの中で、男女共同参画2000年プラン、厚生白書の記述、東京都のDV調査、札幌市、神戸、伊丹市などの実態調査等進む各地での取組状況を紹介しながら、この問題への認識を深め、京都市の前向きな取組姿勢の必要性を強調しました。 現在、世界の多くの国でDV禁止法が成立しています。我が国の20年遅れが指摘されています。京都市も本年3月に女性への暴力に関する市民意識調査を実施しその結果を発表しました。市内に住む女性の3割、推定ですが十数万人の女性が被害を受け、身体的な暴力だけでなく性的暴力、精神的暴力、経済的暴力など心身に及ぶ深刻な被害の実態が明らかにされました。これは6月の国連特別総会女性2000年会議に提出された女性と少女に対する家庭内暴力の状況をまとめた中間報告をはじめ内外の調査による被害実態と同内容の調査結果であります。 京都市における実態が明らかにされたのであります。求められている対策も明確に示されています。総理府の男女共同参画審議会の答申、法務省の人権擁護推進審議会の中間答申も法の制定を求める内容であり、国会でも議員立法目指して超党派の作業部会で法案づくりの作業が進められています。類似の児童虐待防止法とストーカー規制法も11月に施行されます。こうした状況の進展を背景に、京都市も男女共同参画社会の実現に向けて第2次京都市女性行動計画を策定し、女性に対するあらゆる形態の暴力への対策強化を重点推進事業の一つとして位置付け取組を進めている。この調査結果を踏まえて、被害者支援策の検討や広報啓発の充実など女性に対する暴力を許さない社会づくりに取り組むとしていますが、私の過去2回の質問、今年の5月市会の公明党議員の質問に対する答弁でも感じ取れるのは、実際には広報啓発の部分だけであって暴力への対策強化、被害者支援策の具体的な取組内容については検討が進められているようには思われないのであります。幾つかの自治体では、条例化などを含めて具体的な対応策に踏み込んでいる所があります。広域措置、生活支援措置、中間施設ステップハウスの開設、民間シェルターへの援助策、シェルターボランティアの育成など当面の取組について、法律が制定されなければ、あるいは国の動向が明らかにならなければ自治体として対策がとれないのか。あるいは既に京都市は先述の内容のとおり前向きに検討を進めているということであればその検討内容を御説明いただきたい。 これからは箱物を誇示するような市場経済第一主義、物質主義、商業主義から脱した心と命の輝きを大切にする人間生活の内面的な質を高める社会政策的な施策の競争がその都市の新しい価値、魅力として評価され格付けの基準になっていくことを考えていかなければならない時代であります。国連の人間の安全保障の概念、人間の生存、生活、尊厳に対する脅威への取組強化の方向や京都市が昨年4月に施行した市民生活安全条例に基づく生活安全基本計画策定の精神にも通ずるものであります。DV問題に熱心に取り組む自治体の考えもそこにあることを付け加えておきたいと思います。 ここで午前中の質問を終わり、午後から引き続いて質問を行うこととします。ありがとうございました。(拍手)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 暫時休憩致します。 〔午前11時54分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○副議長(今枝徳蔵君) 休憩前に引き続き、会議を行います。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 憩前の一般質問を継続し、梅林等君の質問に対する答弁を求めます。桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 梅林等議員の御質問にお答え致します。 大変格調の高い物事の本質に迫る深い洞察力を持った御見解を拝聴させていただきました。初めに20世紀の総括と21世紀のあるべき都市像について、できるだけ簡潔に私自身の考えを申し述べます。まず20世紀は端的に申しまして科学技術、物質文明の時代でございました。20世紀の間に市民の暮らしは大きく変わり水道や電気も普及していない時代から、今日では自動車や電化製品、通信機器など実に便利で快適な生活を送ることができる時代となりました。こうした物質的な豊かな暮らしをもたらしてくれたのは科学技術の進展でございます。しかしながら、20世紀は一方で様々な課題が生じた時代でもございます。2度にわたる世界規模の戦争により多くの貴い人命が失われたことは20世紀最大の痛ましい出来事でございます。また大量生産、大量消費、大量廃棄型の都市文明は、地球規模での深刻な環境問題を引き起こし、私たち自身の生存をも脅かすような事態に立ち至っております。本来、人間を豊かにするはずの科学技術が逆に人間を疎外してしまう、20世紀は皮肉にもそうした面も持ち合わせた世紀であったとも言えると思います。 さて、その中で21世紀を展望したとき、私も平和、環境、人権が21世紀のキーワードになると考えております。まず平和につきましては、京都市の都市理念であります世界文化自由都市宣言にありますように全世界の人々が人種、宗教、社会体制の相違を超えて平和のうちに集い、自由な文化交流を行うことが大切であり、平和は正に人類繁栄の基礎となるものでございます。また環境につきましては、COP3の開催都市として環境との調和を目指す持続可能な社会をつくり、貴い命をはぐくんできた地球をしっかりと未来に引き継いでいくことが必要であると考えております。更に人権につきましては、子供も高齢者も、女性も男性も、障害のある人もない人も、また国籍や民族、生まれや生立ちに関係なくすべての人が自分の居場所を確認し、自己の資質を十分に発揮しつつ生き生きと活動できる場所と機会に恵まれたまちを目指していくことが必要であると考えております。このように21世紀は平和、環境、人権をキーワードに心の豊かさが求められる時代であります。私は、世紀の大転換期に京都市政を預かる市長として、こうした認識に立ち21世紀京都のグランドビジョンである京都市基本構想に基づき、誰もが生き生きと暮らせる、そして一人一人が支え支えられる安らぎのある市民の暮らしと活力と、魅力あふれ華やぎのある京都のまちの実現に向けて全力を挙げて取り組み、京都の新しい歴史の創造に邁進して参ります。 次に、地方分権改革についてでございます。地方分権は、地方自治体が市民と共に個性豊かな地域社会づくりを可能にする制度改革であり、この改革により本市はますます活力に満ちたかつ品位のある都市づくりに邁進することができるものと認識致しております。今回の分権改革につきましては、機関委任事務制度が廃止され地方自治体の自己決定権が拡大したことなど、これまでの中央・集権から自治・分権型へとレールのポイントが切り替えられたことの意義は誠に大きく評価できるものでございます。しかしながら、一方では大都市機能を有する京都市をはじめ政令指定都市の行財政運営能力に見合う事務権限が、今回の移譲ではその大半が都道府県止まりで政令指定都市には極めて少なく、この点については大きな不満を感じております。とりわけ税財源の移譲に至っては、具体的な成果は全くと言っていいほど得られなかったのでございます。率直に申し上げて、この税財源の問題は地方分権の本質にかかわるものでございます。すなわち仕事は自治体の方がたくさんしているのに財源の方は逆に国の方がたくさん握っており、多額の財源が補助金や交付税の形で国から地方に配分されるという中央集権システムが自治体の自主性、自立性を阻害している要因の一つであると考えるからでございます。 また地方分権と市議会の関係についても、今回の国における地方分権論議の中では議論の機会が少なかったことを誠に残念に思っております。しかし、地方分権が進み深まるとともに議会の権能と役割はいよいよ大きく重要となるのは間違いのないところでございます。議会と行政は車の両輪として、これまで以上に必要にして十分な深い論議を交わし連携を強めることが肝要であろうかと考えております。更に御指摘のとおり分権改革がスタートしているにもかかわらず、国と地方の税財源システムが改革されていない現状におきましては、自治体の国へ依存する姿勢は容易には変えにくい側面も確かにございます。梅林等議員の御指摘にもある国家予算要望活動につきましても、現実問題としてはまだ当分の間は必要であろうかと考えております。しかし、その活動規模なりスタイルは年々縮小、簡素化の傾向があり、やはり分権化の影響はここにも如実に反映していることを実感致している次第でございます。 以上申し述べましたように、私は今回の改革は、あくまでもその出発点と受け止め、重要なのは、残された課題について国に強く要求していくと同時に、それだけでなくて、京都市におきましても今回の改革により拡大された自己決定権を最大限に生かし切り、住民福祉の向上をはじめ京都市の発展に向けて必死の覚悟で取り組んでいかなければならないと考えております。私は、地方分権は小さな流れからスタートし、山河を経てやがて大河となり大海に至るがごとく、誰にも止めることができない歴史的必然であると考えております。御指摘の点を十分に踏まえ、自己決定、自己責任、すなわち自分たちの判断で決定し、その結果に責任を持つ地方分権型行政システムの転換に向けまして、今後とも精一杯、力一杯粘り強く取り組んで参る所存でございます。 以下、副市長が御答弁申し上げます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 中谷副市長。 〔中谷副市長登壇〕 ◎副市長(中谷佑一君) まず京都市旗の掲出についてでございます。本市におきましては、京の文字を図案化したものに御所車を配した正に京都の歴史と文化の特色を象徴する京都市紋章を昭和35年に制定し、その紋章を京都市旗として使用しているところでございます。これまで本市のシンボルとしてのこの市旗をより多くの市民の皆様に親しんでいただき、また京都市民としての連帯感を持っていただくため、市民が数多く参加される自治記念式典をはじめとする本市が行う各種式典、行事などにおいて基本的に市旗の掲出を行っているところでございます。また昭和60年1月からは本市のシンボルとして市庁舎の屋上に常時掲揚を行っております。梅林先生の御指摘にありますように、本格的な地方分権時代を迎え自治体の独自性が問われる今日、市旗の掲出は郷土愛や自治意識の高揚を図るうえで大変意義があるものと考えております。したがいまして、今後施設の整備も含め市旗を積極的に掲出し、京都市のシンボルとしてより一層市民の皆様に愛され、親しまれ、定着していくよう努めて参ります。 次に、市庁舎の整備についてでございます。現在の市庁舎につきましては、老朽、狭隘が著しいうえ、高度情報化や防災機能の向上など今日求められている課題にも十分に対応できていない状況であり抜本的な整備が必要であります。このため平成9年度に京都市新庁舎整備懇談会を設置し、市会議員の皆様方をはじめ各界の有識者の方々からあるべき市庁舎像についての貴重な提言をいただくとともに、平成10年度からは庁内に新庁舎建設基本構想策定委員会を発足させて、懇談会の提言を参考にしながらその建設場所、機能、規模、本庁舎の取扱いなど建設に係る基本的事項について検討を重ねて参りました。同時に、これら基本的事項の取りまとめとともに新庁舎の建設を実現へと導くには、現実問題としてしっかりした財源確保の見通しを立てることも不可欠であります。この財源の確保につきましては、ここ2年間市庁舎整備基金の積立ても見送らざるを得ない状況であり、本市の置かれている財政の厳しさは認識していたところでございます。しかしながら、本年6月下旬に本市の中期財政見通しがまとまり、将来5年間にわたり予想を超える大きな財源不足が見込まれることが明らかとなったことから、新庁舎建設の基本構想案につきましては、今後の財政状況も十分踏まえ、建設の実現可能性の見通しが立った段階で市庁舎整備の最終的な結論を出し提案を行っていくべきとの判断に至ったものでございます。なお先生御指摘のように現在本市では情報通信技術革命等の進展による大きな変革の時代を迎え、市民の皆様に効率的で質の高い行政サービスを提供するための様々な研究や取組を進めております。具体的には公共部門への民間活力の導入を図るためのシステムの研究、コスト削減や資源の有効活用等を図ることを目的としたアウトソーシングの導入、市役所インターネットを活用した行政業務情報化の推進、事務事業評価システムの導入等でございます。これらの取組につきましては今後も研究を重ねて参りますが、取組の成果の中から新庁舎建設の基本構想に採り入れられるものは採り入れ、先生の言われる1周遅れのトップランナーとなるべく努めて参りたいと考えております。また御指摘のありました部局間の連携につきましては、関係する所管局が情報を共有し、共通の認識を持ってその機能等を十分発揮するよう今後指導して参ります。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木寿一君) まず財政についてのお尋ねでございます。御指摘のように我が国経済は、いわゆるバブル経済崩壊後、不良債権の増大などに伴う金融不安も加わりまして不況が長期深刻化し、更に設備投資や個人消費の低迷、そして企業倒産や雇用情勢の悪化など極めて厳しい危機的とも言えるような経済情勢が続いて参りました。このため京都市におきましても、企業収益の悪化に伴いまして法人市民税の収入が大きく落ち込み、景気対策の一環として減税の実施も重なりまして平成11年度決算ではピークでありました平成元年度の500億円と比べますと2分の1近くまで減少しておりまして、これが財源不足の大きな一因になっているものでございます。現在のところ数次にわたる経済対策の取組の結果、公共投資の下支えによりまして我が国の経済は緩やかな回復基調にはございますが、御指摘のように個人消費が伸びず自律回復には至っていない現状にございます。これはなお残る先行き不透明感や雇用情勢が依然として厳しい状態を脱していないことなどによるものと思われます。こうした中で、一方ではIT関連産業を中心に企業収益の回復や設備投資の増加と共に雇用情勢もいささか改善の兆しが見られるようになっておりますので、今後この回復基調を確実にすることが国や地方自治体の当面の急務になっているところでございます。 起債残高の増嵩についてでございます。京都市におきましては、平成6年度の平安建都1200年に向けて地下鉄東西線をはじめとする記念事業を積極的に推進して参りました。このような後世に残る大規模事業につきましては、世代間の負担の公平化を図る観点から市債を活用してきたところでございます。更にバブル崩壊後の景気対策として、国の経済対策に積極的に呼応し公共事業などの推進に努め、加えて減税による市税の減収分について減税補てん債を充当して参りましたことも市債残高が増嵩した原因となっております。このような経済対策に伴う公共事業等の財源と致しまして活用しました市債は、減税補てん債につきましては後年度の元利償還に対して地方交付税措置が講ぜられることになっております。京都市では、公共事業などの実施に当たりましては、市民の生活の向上に寄与する身近な施設整備から21世紀の京都の発展に不可欠な都市基盤整備に至るまで真に必要な事業をバランス良く選定し、国の経済対策に伴う有利な財源を活用することに努めてきたところでございます。今後見通しの厳しい財政事情の中で御指摘のような財政錯覚に陥ることのないように十分留意しつつ、なお一層堅実な財政運営に努めて参る所存でございます。 なお本年度の国の公共事業予備費に係る地方負担につきましても、これまでの経済対策と同様に地方債の元利償還に対する地方交付税措置が講じられることになっております。今後この事業内容の把握に努めまして、京都市が実施致します事業についてできるだけ早い時期に市会にお諮り致したいと考えております。 次に、女性に対する暴力への対策についてお答え致します。御指摘のとおり身近な男性から女性に加えられる暴力いわゆるドメスティック・バイオレンスにつきましては、その形態のいかんにかかわらず女性の人権と個人としての尊厳を侵害する極めて重大な社会問題であると認識致しております。その対策につきましては、暴力の取締りはもとより被害者の状況に応じて相談から一時保護、そして身体的ケアや精神的ケア、更には自立支援と再発防止などきめ細かな対応が必要でございます。そのために行政、警察、医療機関、相談機関、そして民間援助団体など役割や権限の異なる機関が相互に連携して女性のための相談ネットワーク会議を組織致しまして一体となって取り組んでいるところでございます。京都市と致しましては、平成9年3月に第2次京都市女性行動計画を改定し、新たに女性に対するあらゆる形態の暴力への対策強化を重点推進事業に掲げ取組を進めております。その内容を申し上げますと、まず第1に相談事業につきましては、これまで女性総合センターの一般相談で被害者からの相談を受けて参りましたが、ドメスティック・バイオレンスに関する専門相談が必要と考えておりまして、カウンセラーによる専門相談の確立に向けて鋭意取組を進めております。 第2にドメスティック・バイオレンスに関する市民の認識を高め、その発生を未然に防止するために、これまで啓発情報紙での特集やシンポジウムの開催、更に本年4月からは女性大学における特別講座の開設など様々な機会を通じて市民の啓発に取り組んで参りました。国の調査によりましても、今日依然としてドメスティック・バイオレンスが人権侵害であるという認識が十分に浸透しておらず、引き続き啓発事業の推進に力を注ぐ必要があるものと考えております。 第3に被害者の一時保護につきましては、福祉事務所との連携の下に母子生活支援施設及び京都府婦人相談所で実施致しておりますが、とりわけ母子生活支援施設につきましては、昨年4月の厚生省の通知を踏まえまして母子の身体の安全を確保するために他都市の施設に入所できる広域措置や子供のいない女性の一時保護につきましても対応しているところでございます。また、いわゆるシェルターやステップハウスの開設につきましても関係者と協議して参りたいと考えております。 第4に地域におけるドメスティック・バイオレンスの対策の一つと致しまして、本年8月に策定致しました生活安全基本計画の着実な推進により地域住民と関係機関の連携が深められるよう取り組んで参ります。なお国におきましては、本年7月に男女共同参画審議会から女性に対する暴力防止のための法整備の必要性や警察を含む公的機関による取組の推進に関する答申が出されておりますが、京都市と致しましても、現在策定中の第3次女性行動計画におきまして更に効果的な対策を検討して参りたいと考えているところでございます。以上でございます。 ○副議長(今枝徳蔵君) 梅林君。 〔梅林等議員登壇(拍手)〕 ◆(梅林等君) 午前に引き続き質問します。 次に、かつて京都の中心的産業であった和装産業について感ずるところを述べてみたいと思います。応仁の乱で焦土と化した京の都を再興する原動力となった町衆の中に織物の技術集団が生まれ、西軍の陣のあった西陣に着物の一大産地を造り上げました。そして江戸時代の中期、京都を中心とする呉服商はその商い、隆昌を極めていました。それは後に近代日本の象徴的な存在になった流通産業の花形、百貨店の前身の姿であったのです。ところが、その近代化の過程は生活の洋式化であり、それに合わせた衣服の洋装化でありました。関東大震災がその流れを加速させたという説もありますが、それ以前にも既に16世紀中ごろの宣教師の渡来やペリーの来航などで洋服が欧米から輸入され、ちょんまげ姿の南蛮服が時の特権階級のシンボルになっていました。丁度南蛮服の江戸時代の風俗を現代風にアレンジしたイベントがこの12月3日京都国際会館でKYOTO青年元気まつり企画運営委員会による21世紀大風流-百花繚乱-として開催されますが、その後の明治維新、政府は洋服の採用を巡って各大臣を集め大評定、洋服党の泰西の服は起居進退がいかにも便利である。和服党の単に便利という軽薄な理由で伝来の服装を一朝にして西洋風に改めるのは何事かという激しい議論の末、西郷参謀の一言で洋服採用が決定され、それ以降、政府主導の洋装化が本格化し、軍服、官服の洋装化、そして次第に一般庶民も洋服を着用するようになってきました。日本人の着用する衣服の本格的な転換期が近代化と共に訪れてきたのであります。 しかし、それ以降もまだ和服は健在で、長い間、着物を愛用する人たちによって和装産業は支えられ、またその周辺の高級料理旅館も花街も羽振りのいい旦那衆と職人で殷賑を極めていました。ただ時勢の変化は次第に世代の着物離れを加速させていました。もともと日本国内の需要に限られるという市場の地域限定性もありましたが、これまでから指摘されていた高価、着付けが難しい、活動的でないなどの着物離れの3大原因は、今年3月に実施された京都織物卸商業組合のアンケート調査でも改めて実証されていますが、退蔵する和服は30兆円に上るとも言われています。その非日常性が需要の減少傾向を速め、高価の原因であります和装業界の古い商習慣、取引慣行、複雑な流通過程にバブル崩壊後の資産価値の下落による借入金の過重負担が加わり、更にその後の長引く不況、不景気による消費の低迷が追い打ちを掛けるなど新旧内外からの複合要因によって不振に拍車が掛かり、販売高はピーク時の3分の1近くに落ち込み、この10年間で120社を超える和装企業が消失し、中でも業界を代表する丸十小泉、丸勝の破産は業界だけでなく京都の経済界に大きな衝撃を与えたのであります。 業界の構造改革については、ここに至って業界内部でも真剣に取組を始めていますが、古い商法体質から近代的経営体制への転換が図られるか注目されるところであります。ただ、この状況の中でも京都の呉服卸商として店頭公開した企業や高い利益成長を続けている企業もありますし、新しい感性の起業家が新たに西陣の地に集まりつつあり、西陣地域の新しい創造発展につながることを願っています。また従来の伝統的な定番着物から染、織、柄、素材、着やすさなど消費者志向の変化をとらえた着物の制作、洋服感覚、斬新なニュー着物、アロハ柄、パステル調、洋服の有名ブランドの着物あるいはレトロの復活人気、異業種との連携企画、既成概念にとらわれない着物解放区の試みなど様々な工夫、努力が続けられており、これらの新しい発想、企画が和装再生への起爆剤となる可能性に期待されるところであります。 これらのことに関連することを申し上げます。今この議場には議員、理事者合わせて100人余りの人がいるわけでありますが、ほとんどの人は洋服で、ごく一部の方が和装姿であります。今枝副議長のように着物を簡単に着こなし、日常から着物の好きな方もいますが、和装産業振興の一助にと和装PRのために着用されている方もいます。和装組は羽織、袴着用の正装であり、洋服組は別にダークスーツでもない普通の背広スーツ姿であります。これはある意味では違和感のある風景になっているわけであります。和洋のオートクチュールとプレタポルテの混在であります。背広スーツはその誕生の経緯から略々式服装であります。和装の正装に対してはこの議場に飾られている、特にこちらの写真ですが、昔の議長さんの写真で分かるようにブラックフォーマルの服を着用しなければ本来釣合いがとれないと言えるのであります。ホワイトタイはともかく、ブラックタイのタキシードも本来はテイルコートと呼ばれる燕尾服の燕尾の部分を活動的に切断した準礼装であり、そのまたタキシードの略装が原形となったスーツがこの150年間にわたって多くの国の紳士服として普及してきたのであります。 ここで申し上げたいのは、和装着用といえば高価な絹の羽織、袴の正装でなければならないという固定観念が着物の着用に距離を置くことになってはいないかということであります。もちろん高価な洋服を着用されている方も少しはいますが、汎用タイプのスーツの水準に見合った素材でデニムであってもコットン、シルク、ウール、化繊であってもいいし、形も伝統的なフォルムにこだわることなく着付けの要らない作務衣の礼式用や野袴スタイルであってもいいのではないかと考えます。私たちのような普通の生活者では数十万円の着物を無理して求めることはできないのであって、スーツ並みの価格でスーツ並みの着脱しやすい現代社会に合ったスーツ水準の和服はないものかと探索し、今日、私はその和風の衣装を着けてきたのであります。 和装の底辺を開拓拡大し日常化を図る中から伝統的な着物に関心を持ち、やがて保有したいという気持ちが起こり、長い伝統に培われてきた技の結晶である本物を持った満足感と喜びを実感する。逆に特定場所用の儀礼用の高級和服は、特定の人の特定の時間の着用に終わり免罪符的着用になっているのではないか。 実は西洋の衣服にも和服と同じような変遷がありました。特に男性服の場合、中世の絵画や映画で御覧のような華美で複雑系の服がハイソサエティのシンボルであったのです。着にくく、召使いがいなければ着られない、しかも金らんどんすの高価な衣装であったのです。着にくく高いのが逆に上流社会に属していることのあかしであったのでありますが、1663年、イギリス国王チャールズ二世の衣服革命宣言によって貴族に倹約を教える服が登場し、それが原形となり現代の背広スーツとなり、世界の多くの国の男性服として普及、定着してきたのであります。 構造改革のためのカンフル剤的な特別融資も必要でありますが、和服産業は、振興、復興、再興というかつての姿への復帰、再現を追い求めるのではなく、現代人のライフスタイル、意識変化、多様化という現実の上に立って、いかに存続を図っていくかという視点からの方策が必要ではないかと考えるのであります。 この間、民主党は演出家の宮本亜門さん、世界的ソムリエの田崎真也さんのお話を聴く機会を持ちました。その中の田崎真也さんの伝統のために料理を作るのではなく誰のための料理なのかという話は示唆に富んでいました。御意見があればお聞かせいただきたい。 次に、今年の夏の初め、大阪天王寺の一角に飾られた少女の絵にブレイクした59万人の熱い視線が注がれました。日本オランダ交流400周年記念特別展覧会フェルメールとその時代展の中の青いターバンの少女という50センチ足らずの小さな作品にでした。生涯三十数点という寡作の画家フェルメールは、オランダの地方都市デルフトで生まれ、ここで作品を描き一生をその地で終わるのですが、このデルフトのまちは当時ヨーロッパの王侯貴族、富豪が珍重し競って手に入れようとした日本の有田焼、伊万里焼のその技法を採り入れたデルフト焼で有名になったまちであります。日蘭交流400年の歴史は、日本、オランダそれぞれに文化交流の影響を与え合っていたのであります。その展覧会の少し前、京都文化博物館で江戸時代・京都が見たヨーロッパを副題とした異国の風展が開催されていました。 我が国は、大陸文化からの影響の後、南蛮と言われた西洋の国々との交流、交易を始め、京都の文化は更に飛躍的に変化、発展を遂げたのであります。技術や人の交流から新しい文化が生まれるのであります。京都は1200年余の歴史を有する古都と言われていますが、停止したまま生きてきたわけではありません。当時をしのぶ建造物などは今は何一つ残ってはいませんが、連綿として続いてきた伝統というのは古いものをそのまま保ってきたということではなく、大陸、西洋からの渡来文化を先進的に大胆に取り込み、絶えずその時代その時代の最先端の新しいものを創り続けて進展させてきたその進取の気風と技がとどまることなく生き続け、それが京都の文化の成長エネルギーとなってきたのであります。近世では、琵琶湖疏水の開削、発電所の建設、そして都大路に路面電車を開通させるなど西洋の最新技術を導入して京都を活性化したのであります。その発展性がなければ京都は早くに滅亡していたでしょうし、それこそ遺跡の運命をたどっていたのであります。 祇園祭山鉾のタペストリーをはじめとする多くの渡来の装飾品、装身具類、衣服、陶磁器、絵画、更に茶道の関係に至るまであらゆる京都の伝統工芸の中に西洋が溶け込み息づいてきたのであります。また日本の書画や伝統工芸品、絹織物など文物もヨーロッパに移入され影響を与えていました。エミール・ガレもその作品の中に九谷の絵皿をモチーフにしていますし、今、我が国の主婦の間で一番人気の印象派の代表的画家クロード・モネの睡蓮の日本庭園の池に架かる木の橋は日本の浮世絵の橋を取り込んだものです。 洋画に描かれた浮世絵の橋とは逆のケースの橋といえば、この時期、鴨川歩道橋問題が再燃してきました。京都市は改めて鴨川に架かる橋全体の在り方を検討する明日の鴨川の橋を考える会を設置し、来年3月に提言を受けることを発表しました。これに対し鴨川の景観を守る連絡会は計画の中止を京都市に申し入れました。2年前の98年、この橋の建設を巡って景観論争が起こり、京都市側が計画を撤回した経過があります。そのとき、私は本日の質問の冒頭でも採り上げました地方分権のくだりで、事業の計画段階における市民参画の必要性の考え方から市の計画撤回もやむを得ないと考え理解しました。しかし同時に、反対派の人々が京都にヨーロッパの橋は要らない、鴨川にフランスの橋は要らないという大量のしかも原色のポスターを街角に張り巡らすアメリカ流のネガティブキャンペーンを見て、果たしてこれで景観問題が論じられるのかと大いに疑念を抱かざるを得なかったのであります。そして当時問題とされたこの橋問題のオリジナルとなったセーヌ川に架かるポン・デ・ザール、芸術橋について正確に理解するため、この橋について少し触れてみる必要があると思いました。 鴨川には38橋、パリ市内のセーヌ川には32の橋が架かっています。フランスだけでなくヨーロッパの都市河川に架かる橋は、この昔の写真のように頑丈な石造りで彫刻が施され、中には金色の彩色をしている橋も多くあります。明治44年に完成したお江戸日本橋もこの様式であります。この写真の当時は、西洋の橋の上は御覧のように馬車でごった返し、衝突、馬の暴走、歩道がないための人身事故の続発、加えて大量の馬ふん、放尿で非衛生極まりないという喧騒の状況でした。現在の自動車の混雑と排気ガスが充満の状況と同じであったわけであります。 1804年、当時新しい建築資材として登場し始めた鉄の橋脚に床面を木材にしたこのポン・デ・ザールがルーブル美術館とフランス学士院の間をつなぐ利便橋として、馬車は通行禁止、歩行者専用の橋として建設されたのであります。ちなみに同じく鉄素材で造られた1889年のパリ万博のモニュメント、あのエッフェル塔もパリに似合わないということで当時は反対されたのでありますが、実はこのポン・デ・ザールもセーヌ川には似合わないとパリっ子の反対に遭っていたのであります。鉄と木の、しかも余りにもシンプルなデザインがヨーロッパ風の橋ではなかったからであります。最後にはナポレオン・ボナパルトの現場視察の際の一声で存続が決まったという話であります。 この絵は1867に制作されたルノワールのポン・デ・ザールであります。背景のリシューリュ宮殿とフランス学士院の建物がなければセーヌ川に架かる橋とは誰にも分からないような素朴な橋であります。しかし、この橋は多くの画家たちに愛され、今のルノワール、そしてこれは有名なアンリ・ジェルベクス-アルフレッド・ステバンスの19世紀の画家の肖像、今世紀の歴史に描かれているポン・デ・ザール、これはポール・シニヤック描くポン・デ・ザール、これは写真家による現在のポン・デ・ザールであります。これが50年前のポン・デ・ザールですけれども、こうして橋の上で静かに読書する女性もいます。馬車が通らない安心して歩ける橋として昔は学士院会員もここで立ち話をしたり、画家や音楽家なども議論の花を咲かせ、今では憩いの橋としてパリ市民に愛され親しまれているのであります。 約200年前、パリでヨーロッパ的橋でないとノンと言われ、今はウイ。200年後の今、東洋の姉妹都市京都でヨーロッパ風の橋は要らないと言われているポン・デ・ザールが、もし話せるとしたら何と言うのだろうかと思うのであります。橋は左岸と右岸を結び、両岸の人が自由に往来するための施設であります。実りある議論こそ市民は期待していることを申し上げ、私の質問の締めくくりと致します。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(今枝徳蔵君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 引き続き、梅林等議員の御質問にお答え致します。 和装産業存続に関する方策についての御質問でございます。現在、和装産業を取り巻く環境は、大型倒産の続発、着物の購買層の高年齢化、古い取引慣行の存在などに見られるように内外において非常に厳しい状況にございます。御指摘のとおりでございます。私は、京都の基幹産業である和装産業振興のために市長としてしっかりと役割を果たしていきたいという思いから、市長就任以来様々な行事におきまして着物を着用して参りました。その機会が重なるにつれまして和の文化の粋とも言える着物の良さと楽しさを実感するようになって参りました。私が着物を着るのは仕事柄セレモニーが多いわけでありますが、着物の持つその場の雰囲気に合った凛とした感覚が大好きですし、またくつろいだときに感じるゆとりと優しさも非常に好んでおります。 本市では、これまで西陣夢まつりをはじめとする関係業界、団体に対する事業支援やすてきに・きもので・クラシックなどのきもの着用機会づくり事業等を通じて着物ファンを一人でも多く増やす取組を続けて参りました。そして私は入洛観光客5,000万人構想を達成するためにも着物が似合うまち京都の実現に向けて一層努力して参りたいと考えております。 一方、議員御指摘のように着られない、高い、機能的でない、約束事が多すぎるといった着物の持つ側面が着物離れを招く要因となっていることも事実であると思います。今年の祇園祭におきましては、例年以上に浴衣姿の人々が目に付きました。昔ながらの着こなしの方もいらっしゃいましたが、若い人の中にはミニや斬新なデザインの浴衣などファッションとして浴衣を楽しむ姿が見受けられました。また着物のリサイクル市場の活性化にも見られますように、若者にとっての和装への魅力は根強いものがあるのは間違いございません。このような例から見ても、和装文化を広げていくためには、これまでの習慣にとらわれることなく現在の生活や感性に合った取組もまた必要であると考えております。本市におきましても、着物開発事業による現在のライフスタイルに合った着物づくりや染織デジタルアーカイブ事業における優れた染織意匠のデジタル化による異分野、他産業への利用を積極的に推進して参ったところでございます。また業界におかれましても、消費者の視点に立った流通機構の改善等に鋭意取り組んでおられるところでございます。今後とも消費者のニーズを積極的に採り入れた取組を力一杯支援致しますとともに、京都経済の活性化になくてはならない和装産業の振興発展に全力を挙げて参ります。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○副議長(今枝徳蔵君) 次に、市政一般について、中西正三君に発言を許します。中西君。 〔中西正三議員登壇(拍手)〕 ◆(中西正三君) 中京区選出の中西正三でございます。公明党京都市会議員団を代表し、市政一般について市長並びに関係理事者に質問致します。原稿の関係上、少々早口になることをお許しください。質問は大きく6点であります。少々重複する項目がありますが、観点を変えてお伺い致しますので市民に明らかにしていただくよう誠意ある御答弁をお願いしておきます。 既に、これまでの質問者の中に述べられておりますが、今京都市は2000年の20世紀から2001年の21世紀への世紀の節目並びに新たな千年紀を迎えようとしております。本市は、平安建都以来14の世紀を踏み越えようとしており、善きに付けあしきに付け、幾度も日本の歴史の舞台となって参りました。千年紀ミレニアムの節目に位置される市長として本市の20世紀を概括され、歴史的にどのように総括しておられるのか、そして21世紀へどのような京都市になされていきたいとお考えか、御所見をまずお伺い致します。 更に自治体としての国連への貢献についてであります。21世紀の課題も、不戦、平和への取組は人類的、地球的になる一方、国家間の単位から一個人の人間へ、人間の安全保障という課題になって参ります。それだけに今後も地球的組織として国連の果たす役割はより大きく、またその役割の充実と強化が改めて求められております。欠乏からの自由、恐怖からの自由、明るい未来、国連改革などのテーマを基に審議され、ミレニアム宣言が採択された国連ミレニアムサミットが先の9月6日から8日、189箇国が参加し、150箇国の首脳が集う盛大な会議となりましたが、先月には、この京都で21世紀への提言・国際社会の潮流と文化とのテーマの下に国連ミレニアム京都会議が開催されました。そこでは世界平和を築く新たな指針を探る論議が交わされました。幸いにその会議を見守ることができ思いましたのは、第1に本市における世界、国連への貢献、第2に地方自治体としてのリーダー役についてであります。 〔今枝副議長退席、二之湯議長着席〕 ◆(中西正三君) (続)国連は、世界の国、国家だけに支えられているのではなく、非政府組織や世界の自治体が積極的な参画をしております。物心両面で支え大きな力となっているのであります。例えばオーストリアのウィーン市は、10月24日の国連記念日に記念コンサートを申し出て、イタリアのミラノ市からはスカラ座のオペラ歌手が出演するとのことです。日本からは茶道裏千家家元がコフィー・アナン事務総長の要請を受け、サミット出席の各首脳に特別献茶が行われ、対立する国家民族を超えて人としての信頼醸成の一端を担われたところです。このように我が市においても、世界に冠たる世界文化自由都市宣言都市京都市として、また世界の主要な自治体として積極的な貢献を恒常化していくべきであると考えます。どうお考えでしょうかお尋ね致します。 第2には、地方自治体としてのリーダー役を果たすべきことであります。本市は、御承知のとおり12年前には第1回国連平和京都総会、第2回国連平和京都総会や気候変動枠組条約第3回締約国会議いわゆるCOP3の開催都市として、平和や環境問題だけでなく世界貢献への使命深い都市でもあると考えます。そこで今年11月の炭酸ガス森林吸収分の具体的ルールが決められる第6回締約国会議、COP6を前に、京都会議の決定事項が揺らいでいる深刻な現状となっており、地球温暖化防止のためにも第3回の開催都市で日本で唯一の開催自治体都市としてそのリーダーシップを発揮されるべきであると考えますが、御決意をお示しください。 質問の第2は、次世紀に引き継ぐ京都まつりの今後についてであります。京都まつりは、市民参加の新しい祭りとして、京都三大祭のように京都の年中行事として市民の中に定着し親しまれるものにしようと平安建都1200年を記念して誕生したものであり、昨年の第6回には69万人が参加するなど市民参加の観点から一定の定着を見たものと評価できます。これはひとえに各行政区別参加の皆さんや各種団体やグループの参加の皆さんの支えがあればこそであり、スタッフはじめ関係役員の皆さんの御尽力のたまものであります。来月10月29日の京都まつりは第7回目となり、今千年紀、20世紀の最後となる節目の開催でもあり、伝えよう・この感動・世紀を超えて、京都まつり2000を開催テーマにワンコリアンパレードなど大いに期待したいところであります。たとえ財政困難な状況の中にはあっても、知恵と工夫を練り上げ、市民の建設的な声の下、改善すべき課題について市民参加の審議会を設置するなど検討を加えてはどうでしょうか。そこでお尋ね致します。21世紀の京都まつりをどう開催していく方針なのか御提示いただきたいのであります。 質問の第3は、京の川づくりについてであります。山紫水明のまちづくりの一環として昨年6月に京の川再生検討委員会から提言を受けて、既に本市は今年度予算に1,000万円を計上しているところであり、21世紀初頭を飾る事業として注目されるのであります。現在の京都の川は、昭和30年代から急激な都市化が始まり、そのため治水、下水対策が進み、雨水の浸透も少なく、地下水位も低下し、都心部では合流式の下水道のため普段は水の流れないかれた川となり、大雨のときは各戸の下水、汚水が混入して急流のごとく流れあふれるという、正に山紫水明の都の喪失の危機となっています。また沿線の土地活用やビルの林立で、以前の水辺と緑と町並みとの一体となったまちの景観が失われて参りました。 人々の川の認識が変わり、清き水の流れはごく一部に残るのみとなり、コンクリートの擁壁に挟まれ、子供たちにとっても危険な場所として川から遠ざからざるを得なくなりました。京の川再生シンポジウムでの学者の意見に、京都の川というのは水を中心に生活風俗文化が出来上がってきていた。川という媒体を通し、水を使い共用する中で生活を律するマナー、そういうものを生む。その中でコミュニティも創られてきた。京都の水を取り戻すということは新しい京都の生活スタイルを創っていくことですと。 今、京都の京の川の再生により良き都市環境を取り戻し、新たな創造を21世紀に引き渡さなければなりません。そのため、改めて川の価値を再認識し、京の川再生検討委員会から提言を受けている川のあるみやこのまちの姿として五つの提言、構想の基本的な考え方、5点の提言、事業の進め方とこれからの新しい歴史を重ねる京の川として提言されているところであります。特にモデル河川の整備基本構想として堀川と西高瀬川の2河川を掲げ、その2河川をネットワークとして結ぶとの具体的な提言を示されております。 そこで2点お尋ね致します。第1点は、次世紀初頭の事業として京の川再生検討委員会からその提言をいただいた山紫水明のまちづくりの整備計画について、指摘の諸点を踏まえどう考えておられるのかお尋ねするものです。 第2は、そうした河川の今後の河川管理のあり方であります。建設省河川審議会では、市民団体と連携した河川管理についての答申素案をまとめています。そこでは河川を地域共有の財産と位置付け、行政と市民団体とが具体的な連携方策として計画の提案や一括依頼のシステムのほか、1.市民団体の企画立案段階から運営を行う自主運営システムを導入する。2.地域の企業の参画も促し、行政が活動のフィールドや情報を提供し、民間等の資金の下、市民団体が実際の活動を行うなどといった役割分担した河川管理を試行するとしています。このような市民参加との連携した管理の仕方について御所見をお示しください。 質問の第4は、地元中京区関連の課題であります。その一つとしてJR二条駅周辺整備による御池通の貫通見通しと地下鉄東西線の西伸について、その2として二条駅周辺整備計画について、その3としてJR円町駅完成後の嵯峨野線の複線化、高架化についてであります。 これまで山陰線、嵯峨野線は、地元中京区において区内の一体的発展を阻む交通の障壁となっていました。特にJR二条駅は西口がなく、東西通行のうえで最大約700メートルも迂回して通行しなければならず、この不便さはJR嵯峨野線全体にも都市交通の課題として長く立ちはだかっており、遮断された鉄道を挟んで町並みや道路形態も変わり中京区の課題となって参りました。今は亡き今川市長は、かつて二条駅周辺整備計画についての私の質問に、京都の西の玄関口と答えられました。この西の玄関口とは、単に都市機能としての玄関口だけではなく、本市から各地へ伸びていく出発の地としても想起できるものであります。それは、かつて京都市が市制が発令される前の京都府として存在していたころから、この地域に鉄道敷設の要望が高く、初めての公選市長として初代市長の内貴甚三郎氏がまず取り組んできたものです。当時は京都3大事業の関心盛り上がるときであり、明治維新後の都市としての大競争の時期でもありました。特に本市は、東京への遷都に危機を感じる市民の高まりがありました。そのため都市の発展は、交通網、その中でも鉄道の敷設が求められていました。明治25年3月11日京都より舞鶴に至る鉄道敷設建議、3月20日山陰鉄道に関する意見書、12月8日京都舞鶴間鉄道敷設の議につく建議などに見ることができます。 内貴市長は、議会で議員から再三意見を求められ、市長の構想として、現在の二条駅から日本海側の舞鶴と結ぶ京鶴鉄道を敷設し、山陰に初めて鉄道を及ぼし、更には舞鶴の良港から当時のロシアのウラジオストックに船で結び、ウラジオストックからはシベリア鉄道に結び、当時の世界経済の中心、ヨーロッパのレールに結ぶ鉄軌道による世界との玄関口として二条駅を構想された所見を述べたのであります。京都の市長として、世界の中の京都を概観して市政をなすことを学ぶものであります。そして、この内貴市長の構想は、民間の京都鉄道株式会社として、旧二条駅舎を本社とし推進されてきたのであります。余談ではありますが、旧二条駅舎の鴨居などの金具、内装の飾り金具のマークが京都市の紋章と同じものであったとの意味はこのことからもしのばれるのであります。以後、保津川の八つのトンネル工事など多難を極めて旧国鉄に引き継がれて舞鶴まで完成したものであります。 今この二条駅周辺整備事業は、交流と創造、ゆとりと潤いのまちづくりを基本に、JR山陰本線の立体交差化に伴い廃止された貨物ヤード跡地を有効利用し13.2ヘクタールを土地区画整理事業により新しい都市拠点形成を行うもので、地域の活性化を目指すものでありました。現在の二条駅周辺整備事業の進捗率は、仮換地指定率98パーセント、道路築造率93パーセント、建物移転率91パーセント、予算執行率90パーセントであります。進捗率だけで見ると、あと一歩のところまで来ているものの、この地の利用はまだ不備のままであり、東の玄関口と言われる山科と大きな落差があります。 都市活性化と市民の豊かな暮らしのための交通網整備に欠かせない御池通の貫通は、二条駅周辺整備事業の西に隣接する七本松通より御前通間がまだ未完成であります。この御池通が貫通しないと、二条駅周辺整備が進んでバス交通の拠点となる西口広場が完成してもバスも通れず、市長が約束されている地下鉄東西線の西伸も工事着手が困難となります。したがって明年に東西交通各1車線が通行できる予定と伺いますが、御池通の実質の貫通の見通しをお示しください。併せて地下鉄東西線の西伸として二条駅から2駅を発表されていますが、仮称天神川駅の位置は、京福嵐山線の蚕ノ社駅との交通結節の一方、天神川の北の右京文化ホール予定地ともアクセスできる位置が考えられますが、どのように考えておられるのか、この点もお答えください。 次に、その2として二条駅周辺整備事業がどうなっていくのかであります。その中で西口交通広場南側の四角形用地は既に松竹株式会社のマルチプレックス・シアターが撤退し、食文化プラザ計画も挫折したようです。以前からも指摘していますが、この二条駅の核施設の遅れは、地下鉄東西線の5大プロジェクトとして地下鉄乗客数に大きく影響してきています。新しい計画の見通しができない中、このままでは二条駅周辺整備事業が平成13年度末をもって終了することになってしまいます。ところが先日9月14日付けで事業計画を平成16年度まで延長されました。この計画変更は既に第3回目となります。安易な更なる延長となってはなりません。御決意をお聞かせください。 次に、その3としてJR円町駅完成後の嵯峨野線の複線化、高架化についてであります。昭和55年から56年、建設委員会に地元からの円町駅設置を願う請願が出され、採択されて以来、地域の熱情にこたえ関係者の御尽力を得て約19年から20年の星霜を経ています。いよいよ今月23日、あと3日で中京区西ノ京円町にJR円町駅が開業され、既にお亡くなりになっている代表者はじめ多くの地元の皆さんのお喜びもいかばかりかとお祝い申し上げるものであります。そして二条駅から花園駅間の複線化も完了され、JRのこの秋のダイヤ改正により時間の短縮はじめ快速列車やラッシュ時等の増発をされるとともに、円町駅には普通列車121列車が停車することとなります。また町家をイメージした瓦屋根と高架下にはガラス張りの駅舎が出来、将来の8両編成に対応できる165メートルの島式ホームと併せて高架下に自転車、バイクの駐輪場750台分が出来るとのことであります。そこでこの嵯峨野線の残された事業として二条駅から京都駅への複線化事業と花園以西の高架事業であります。今後、引き続き事業化されるのか、またどちらを優先して事業化していくお考えかお答えください。 質問の第5は、防災情報の周知と救急行政で、その一つに災害時の防災行政無線システムの整備に伴う活用並びに市民への速やかな通報体制、二つに救急車の搬送急増対策についてであります。 まずこの度の東海豪雨の多数の被災者並びに有珠山噴火に伴う被災者、三宅島をはじめとする伊豆諸島災害被災者の皆さんに心よりお見舞い申し上げるものであります。私たちの日本は、豪雨列島、火山列島の上に常にあること、自然災害の恐ろしさを改めて思い知らされた災害で、人間の力の小ささや災害がいつやってくるか分からない恐ろしさを思い知らされました。公明党は、有珠山や三宅島をはじめとする伊豆諸島の火山災害においてもいち早く救援活動を展開し、現場の苦労を共にし被災者の要望や訴えを聞き込んで奔走して参りました。そのうえで少しでも激励支援との思いで救援募金活動をこの京都でも各ターミナルで行い、市民の多くの真心の御協力をありがたくも頂だいすることができ、この場をお借りして厚く御礼申し上げるものであります。 さて災害から市民を守るためには自助、共助、公助とありますが、自ら危機脱出を図るとともに、共に助け合うことが大切です。そのために常々訓練と検討を重ね、自らのことも省みず多大な御努力をいただいている関係各位、消防分団員、その御家族の皆さんや自主防災会の皆様に改めて感謝の意を表するものであります。また災害時には、市民に防災情報を速やかに徹底して知らせることができるかどうかが最も大切であることは言うまでもありません。そのため本市は防災行政無線の更改と併せ、3年間を掛けて新しい防災情報システムの検討を重ね、今年度末に総合的な防災情報ネットワーク、スーパーネットとして導入完成されます。それは、一つ、機能の格段の向上として消防と防災とがシステムとして合体され、正確、的確な情報と指示ができるようになり、市町村では初めてのシステムとして最高レベルのグレードになります。二つ、通信回線や通信範囲が向上し本部から区役所への回線が音声だけからファックス、画像とテレビ会議なども可能となり、多くの出先機関へ一度に情報が送受信できるようになるのであります。誠に頼もしい限りでありますが、そこで2点お伺い致します。 その1は、市内通行者への情報提供についてであります。阪神・淡路大震災を受けた神戸市では多種多様な情報提供体制の確立に力を注ぎ、中でも肝心の被災地での情報提供として日常生活で身近に接する自動販売機を利用した災害情報通信システムを開発され、現在市内66箇所に設置されています。このように本市でも市内の各所に昼夜間共に目立つ電光表示板を設置し、通行者やドライバーにも分かるようにし、所管は違いますが府警本部の主要幹線道路交通情報伝達電光表示板へも平常時から啓発情報を配信できるようにしてはいかがでしょうか。 その2は、防災行政無線を平常業務に活用されるべきことであります。本市は行政間の通信手段として、このほか庁内専用回線とNTT回線があります。本庁舎の朝日ビルの一部を含む電話代は、総務局が把握しているものだけで平成7年度では1億600万円余りであったものが、平成11年度では1億2,600万円と経費は着実に伸びてきています。しかし、この中には各局で負担している電話料金や急増していると考えられる庁舎のファックスやパソコン通信料金は含まれていません。そこで通信回線が増強され、通常の電話方式で双方向で話ができるようになる防災行政無線の回線を平常業務に活用されるようお考えになってはいかがでしょうか。幸い災害時には防災行政関係の通信回線を優先させる統制が可能とのことです。経費節約の一助と災害時の通信訓練にも役立つものではないでしょうか、お考えをお示しください。 質問第5の二つは、救急搬送の急増対策についてであります。この夏は特に暑く、日射病や脱水症状などで昨年同期の1.6倍の救急搬送となったとのことです。御承知のように本市は救急車の搬送件数が毎年うなぎ登りとなっており、都心部の救急隊は休息も十分にとれない状態となっています。搬送のその内容は、急病搬送が3万1,245件で全体の57.9パーセントであり、一昨年の増加件数1,979件のうち急病搬送の増加は実に1,522件、何と約70パーセントを占めており深刻です。本来なら夜間などの診療開設状況や入院受入状況を救急病院などが情報公開できれば、市民が自主的に判断され連絡をとられて診療を受けることができます。そこで消防局も病院団体との申入れをされ久しくなってきておりますが、京都府救急医療情報システムの公開へ一歩前進されるべきではないでしょうか。今後どのように救急搬送の急増に対処されるのかお考えをお示しください。 最後に今般上程されています上下水道料金改定についてであります。既に本会議や付託委員会でも論議されているところでありますが、これまでの整備計画が進み、水道事業整備では99.4パーセント、下水道事業の整備では99.0パーセントの高い整備普及率を維持してきております。これらは確かに市民の衛生環境、生活向上へと急速に都市化を進めることと相まって、特に下水道整備は、平安建都1200年の平成6年度を目標に市議会としても推進してきたものであります。そのためその事業に係る元利償還が今後も引き続き必要となることは当然であり、財政計画によると水道事業では平成12年度に20億円の赤字、平成16年度では累積欠損額は120億円に上り、一方下水道事業では平成12年度で45億円の赤字、平成16年度では累積欠損額は304億円に上ります。 これらは上下水道事業として急速な普及率向上期間や先行投資型の時代を終え、今後は維持管理、更新整備の時代に既に入っていることを示し、事業の質的変換に早急に対応しなければならないことを十分自覚しなければなりません。まして現在のバブル崩壊後の長期不況は回復基調としても、本市においてはまだ極めて厳しい状況は変わらず、市内の各企業による景気状況調査では足踏みと、緩やかな回復を示すものの中小零細企業は依然として厳しく、日銀短観では、改善はしてきているものの改善幅は縮小してきていると、いまだ本格的な回復となっていないことを示しており、市民の暮らしへの影響や本市経済、景気状況を無視できないことは御承知のとおりであります。したがって理事者にあっても、第1に、先を見通し、まず自らの血を出す改革を図るべきであります。我が党議員団は、局体制の改編、人材育成基本計画、能力主義、目標管理制度の導入など以前から訴えてきたところであります。この点、市長部局も支援され断行されるべきであります。また第2に、市民生活への影響と京都経済の景気状況に配慮されることであります。市民の暮らしへの影響と公共料金や諸物価に波及することを考え合わせるべきであります。これらの観点から検討され、更に熟慮されることを公明党京都市会議員団として強く求めるものです。以上をもって質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(二之湯智君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 中西正三議員の御質問にお答え致します。 初めに本市の20世紀の総括と新世紀への決意についてでございます。京都は20世紀の初頭、第二琵琶湖疏水、電気鉄道などの3大事業に象徴されるように近代都市としての姿が整えられ、その後もものづくり都市、大学のまち、国際的な文化観光都市など様々な顔を持つ都市として発展して参りました。しかしながら、都心の再生や産業の活性化など多くの課題を抱えるに至り、京都は今時代の大きな岐路に立たされております。私は、このような京都の特性や課題を念頭に置きつつ、国際化、情報化、少子化、高齢化などといった時代の変化にしっかりと対応したまちづくりを進めていくことが必要であると認識しており、21世紀の京都が、暮らしに安らぎがあり、まちに華やぎがある光り輝く世界の京都となるよう全力を挙げて取り組んで参る所存でございます。 国連への貢献についてお答え致します。本市では、国という枠を超え、平和のうちに開かれた文化交流を行う都市の実現を目指し、昭和53年10月に世界文化自由都市を宣言致しました。また平成9年に策定致しました京都市国際化推進大綱におきましても、世界平和と繁栄への貢献を目標の一つと定めまして、COP3すなわち地球温暖化防止京都会議や国連軍縮京都会議、国連ミレニアム京都会議への支援等を積極的に行って参りました。更に私が会長を務める世界歴史都市連盟の活動や世界歴史都市会議等の事業を通じて世界平和と繁栄に貢献致しております。今後につきましても姉妹都市等との交流や自治体として持つ豊富なノウハウと人材及び歴史都市としての特質を生かした国際協力等を通じて国連の目的である世界平和と繁栄に貢献するため精一杯努力して参りたいと決意致しております。 次に、気候変動枠組条約第6回締約国会議いわゆるCOP6についてでございますが、本会議は本年11月にオランダのハーグで開催され、京都議定書の発効に向けた温室効果ガスの排出削減を図る方法など具体的なルールを決定する大変重要な会議であると認識致しております。私は、これまでからCOP3の開催都市の市長として本年4月のG8環境大臣会合などあらゆる機会をとらえて国の内外に向けまして一日も早い京都議定書の批准発効を求める働き掛けを行って参りました。COP6に対しましても中西正三議員御指摘のとおり京都市の専門職員を現地に派遣致しまして、各国政府に京都議定書を早期に批准するよう京都市民の熱い思いを伝えて参りたいと考えております。今後とも地球と人類の未来のために地球温暖化防止に向けた取組を積極的に行うとともに、機会ある度に京都議定書の早期批准、発効を訴えて参る所存でございます。 次に、京都まつりについてお答え申し上げます。京都まつりは開催当初から市民参加によって市民の皆さんが企画し運営することを目指し、観客と一体となった躍動感あふれる熱気に包まれたにぎわいの祭りとして親しまれ、時代祭と並び京都の錦秋を彩る催しとして着実に定着し発展して参りました。21世紀の京都まつりでは多くの市民の情熱と創造により悠久の歴史と伝統に培われた京都市民の文化、芸術する心とその成果を広くアピールし、21世紀の京都の主役である市民の皆さんお一人お一人が躍動し夢とロマンを持って大きく羽ばたくお祭りとなると同時に、更に好評を博しております全国の伝統行事、お祭りにも引き続き御参加していただくことによりまして、このお祭りが活力と魅力にあふれた京都を象徴し国内外の多くの人々を魅了する一大フェスティバルになるよう創意工夫を凝らして参ります。 次に、JR嵯峨野線の複線、高架についてお答え申し上げます。JR嵯峨野線は通勤通学、観光などの重要な交通手段であることから、私は、二条花園間の複線高架化及び円町駅設置工事の早期完成に組織を挙げて全力で取り組んで参りました。地元の皆様方をはじめ市会の先生方、JR西日本など関係機関の温い御支援、御協力をいただき、おかげをもちまして来る9月23日に開業を迎えることと相なりました。本地域の残る単線区間である京都二条駅間及び花園嵯峨嵐山間についても現在京都府と協調致しまして複線化の優先整備区間や整備手法等の基礎調査を実施しているところでございます。今後とも引き続き残された区間の複線高架化整備の実現に向けて京都府及びJR西日本と共に積極的に取り組んで参りたいと考えております。 以下、増田副市長、交通事業管理者及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(二之湯智君) 増田副市長。 〔増田副市長登壇〕 ◎副市長(増田優一君) まず京の川づくりにつきましてお答え申し上げます。御指摘のように平成11年6月に京の川再生検討委員会から山紫水明のまちづくりをテーマとした御提言をいただきました。この提言は、普段は水のない川に清らかな水を復活し、親水護岸の整備等により緑あふれる水辺とせせらぎを再生することによりまして都市に暮らす住民の方々にゆとりと潤い、そして様々な災害からの安全を与える京の川の再生の在り方を示しているものでございまして、新しい世紀にふさわしい内容になっていると考えております。本市では、この御提言を受けましてモデル河川として示されております堀川の再生に取り組むことと致しまして、その早期の事業化に向けましてこれまでに水源の確保や河道の整備の在り方など法令上及び技術的な検討を進めますとともに、建設省及び京都府との協議を進めて参ったところでございます。引き続きこれまでの検討内容を具体的に取りまとめるとともに、沿線住民の皆様をはじめ広く市民の方々の御意見をいただきながら市民参画による整備構想の策定を進めて参りたいと考えております。 次に、二条駅周辺整備事業についてお答え致します。この地区の基盤整備を担っております土地区画整理事業につきましては、平成2年度の事業計画決定以降2度の事業計画の変更を経て平成13年度での完了を目指して全力で取り組んで参ったところでございます。しかしながら、一部の建物等の移転の補償交渉に手間取っておりまして事業完了までになお時間を要することから、この9月に更に平成16年度まで延長させていただいたところでございます。今後は、この事業施工期間内での事業完了に向けまして全力で取り組んで参りたいと考えております。また文化施設整備事業につきましては、二条駅周辺地区のにぎわいの核となるような施設計画をできるだけ早期に取りまとめて参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 野嶋建設局長。 〔野嶋建設局長登壇〕 ◎建設局長(野嶋久暉君) まず河川管理の在り方についてお答え致します。河川は地域共有の公共財産であり、河川管理者のみならず地域住民自らが河川を守り育てていくものでございます。そのような考えから、本市では一部の河川につきまして沿線住民の皆様方と共に多自然型の川づくりの構想策定に向けて取り組んでいますほか、河川美化団体と連携し清掃活動等を実施しているところでございます。今後は、更に河川美化団体や地域住民と連携致しまして水質の保持や生態系の保全等の取組を行っていく必要がありまして、国の動向も踏まえまして河川管理における市民とのパートナーシップをより一層進めて参りたいと思っております。 次に、御池通の整備についてお答え致します。御池通は市内の中心部の東西幹線道路であり、地下鉄東西線の導入空間でもあることから本市の重要路線として位置付けております。現在七本松通から御前通間の整備促進に取り組んでおりまして、用地買収率は91パーセントでございます。買収済みの箇所から埋蔵文化財の発掘調査を行い、ライフライン敷設工事と街路築造工事を精力的に進めておりまして、今年度末には2車線を確保し供用して参ります。また難航しております残り用地の買収につきましては、非常に厳しい状況でありますが全力を傾注し予定しております12年度完成に向けて取り組んでいるところでございます。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 原田消防局長。 〔原田消防局長登壇〕 ◎消防局長(原田一郎君) まず防災情報の周知についてのお尋ねでございますが、市民に対する的確な防災情報の提供は極めて重要であると考えております。このために平成10年度から3箇年計画で取り組んでおります防災情報システムの整備におきましては、市役所及び主要ターミナルの計2箇所に幅3メートル、縦2メートルの大型文字情報装置を、また区役所や消防署の前に文字情報装置を設置するほか、広域避難場所に音声で情報を伝達します同報無線を新たに設置する予定でございます。また御提案の民間等の設備の活用につきましては、その効果、災害時の信頼性など活用の可能性について今後検討して参りたいと思っております。 次に、防災行政無線の平常業務での活用についてのお尋ねでございますが、経費節減の一助になるとともに、災害時に備え職員がその操作に慣れておくことが重要であることから日常的な活用を進めて参りたいと考えております。 次に、救急搬送の増加対策についてのお尋ねでございますが、市民の皆様に対する夜間における診療開設状況などの病院情報の提供につきましては、京都府救急医療情報システムを所管しております京都府に対しこれまでからも要望を行ってきたところでございます。京都府ではこのシステムを平成14年度に新たに再構築される計画と聞いております。こういったことから市民の皆様に対する情報提供が可能なより充実したシステムになるよう今後とも強く要望して参りたいと思っております。また救急車の適正な利用方法につきましても、市民しんぶんをはじめ防火防災行事などの機会をとらえて深く広く啓発して参りたいと思っております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 江草公営企業管理者。 〔江草公営企業管理者登壇〕 ◎公営企業管理者(江草哲史君) 地下鉄東西線の二条から天神川までの延伸につきましては、この度平成13年度の運輸省の概算要求に盛り込まれ事業化に一歩近付いたところでございます。これもひとえに市会与党の先生方の力強い御支援のたまものと心から感謝致しております。誠にありがとうございます。お尋ねの天神川駅の位置につきましては、交通利便性の観点から京福電鉄嵐山線との結節や御池通や三条通などからのバス系統の接続を考慮致しまして、現在御池通と天神川通の交差点の西側を基本に検討致しております。天神川駅完成後は、バス路線の接続も含めまして新設される右京文化会館をはじめ周辺施設へのアクセスも一段と便利になるものと考えております。今後とも先生方のお力添えをいただきまして平成13年度の補助事業採択に万全の体制で取り組みますとともに、平成19年度中の開通に向けて最大限の努力をして参る所存でございます。以上でございます。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) 次に、市政一般について、大道義知君に発言を許します。大道君。 〔大道義知議員登壇(拍手)〕 ◆(大道義知君) 公明党の大道義知でございます。同僚議員に引き続き、私は、公明党京都市会議員団を代表して市政一般について質問致します。私で最後の質問者でございます。また恐らく今世紀最後の私の代表質問になろうかと思います。何とぞ市長におかれましては心して誠意ある積極的な答弁をお願いするものでございます。 まず最初に、21世紀京都の幕開けにちなみ京都市歌についてお尋ね致します。京都市民に親しまれ歌われてきた現在の京都市歌は、昭和26年7月全国公募方式により公式に制定されたものであり、明年には制定50周年という佳節を迎えることになります。京都市歌の歴史は古く大正4年に作られたもの、更にはこれ以前にも明治時代を含め文献では2曲ほどあったとされております。また市民憲章の憲章文をそのまま歌った行進曲市民憲章というのもあり、京都市民がその時代時代に意義を込め京都の心を歌に託してきたことがうかがえます。現在の市歌が制定されて半世紀が経過し新たな世紀を迎えようとしている今、私は今日まで歌い継がれてきた京都の心を継承しつつ、新しい時代に向けて21世紀の京都を象徴する新しい響きを持つ市歌を作ってはどうかと提案したいのであります。歴史的な千年紀を越え、今を生きる京都市民の新たな千年新都創造への思いを21世紀宣言と共に市歌に託して後世に語り伝え、とどめるべきと考えます。 100年前の1901年、20世紀の開幕のときに、常に民衆のための音楽をとの信念で活躍したイギリスの近代音楽の先駆的作曲家であったエルガーは、希望と栄光の国と歌詞が付けられた威風堂々という行進曲を作曲致しました。この曲は、イギリスの第2の国歌として100年後の今日も愛唱されているという正に民衆に根差した曲としての風格を持っております。その意味でも私は、21世紀の開幕に当たり、市民が作り上げる新世紀の民衆のための凱歌を是非とも京都市歌制定50周年という記念すべき2001年に作るべきだと考えますがいかがでありますか。市長の前向きな答弁を求めるものであります。 次に、情報化推進についてお尋ね致します。聞き慣れない横文字が多少出て参りますが、新しい分野の質問でございますのでお許し願いたいと思います。私たちは、この度21世紀の情報社会に対応し、情報発信と草の根のネットワークを創出するため、市議団独自のホームページを立ち上げました。まだまだ不十分さは否めませんが、市民の皆様にもアクセスしていただき、どしどし御意見を頂だいし、将来的にはネット上で京都市民会議ができるような市民と一体となった双方向の取組を進めて参りたいと思っております。どうか御支援をよろしくお願いする次第であります。 さて21世紀を前に日本中が今ITの話題で持ち切りであります。先の九州沖縄サミットで採択された沖縄憲章でも、ITを21世紀を形づくる最強の力の一つと高く位置付け、首相の諮問機関である経済審議会もIT革命を起爆剤とした躍動の10年へと題した報告書をまとめ、IT革命で21世紀へ新たな発展を目指す提言を打ち出しております。更に政府はIT戦略会議を立ち上げ、日本のIT革命の指針となるIT基本法の制定や未来型情報通信立国を目指し、2005年を目途にIT革命を完成させようと今電子政府の実現に国を挙げて取り組んでおります。電子政府とは、コンピュータネットワークを活用して各種の行政事務をオンラインで実施するシステムのことで、この実現は市民サービスの向上や行政の効率化を一層推進するものとして期待されておりますが、しかし一方で、デジタルディバイドいわゆる情報格差が新たな社会問題として浮かび上がっており、IT革命が社会にもたらす光と影の明暗も指摘されております。先般、私ども公明党IT社会戦略委員会は、情報格差の予防と平等社会の実現を骨子とするIT社会の果実を全国民にと題した日本型IT社会への基本戦略を発表したところでありますが、今後我が国がIT革命を推進していくうえではこの影の部分に焦点を当てた的確な対応が求められていると思うのであります。 そこで私は、まず情報化推進を考えるうえで重要な三つの課題に着目し問題提起したいと思います。ITはいわゆる三つ壁を崩していくと言われております。一つは時間の壁、二つは空間の壁、三つは組織の壁であります。このことから言える今後の課題を別の言葉で表現すれば、スピード化、デジタルバリアフリー化、ネットワーク化の三つのキーワードであると私は考えます。まずスピード化であります。ITの世界では速い組織が遅い組織を打ち倒すと言われております。今後、市民への行政サービスの在り方や自治体の在り方も変化を余儀なくされ、スピードにどう対応できるかが第1の課題だと思います。次にデジタルバリアフリー、すなわち情報のバリアフリー化であります。ITを使いこなせる人とそうでない人との格差、情報を知っている者と知らない者との格差など、情報化の中で生じる情報格差の解消が今重要な課題となっております。今後は高齢者や障害者など情報弱者と言われる人たちがITのメリットを最大限に享受できるために国や地方自治体の強力な支援がどれだけできるかが第2の課題であると思います。三つ目にはネットワーク化であります。通常、自治体は地域コミュニティを対象にしておりますけれども、生活者は地域というカテゴリーだけで結ばれているわけではありません。インターネットの普及は同じ問題意識を持つ人たちをグループ化させ、マスコミュニケーションに代わって草の根のコミュニケーションを生み出しました。このことは今後の地域社会の在り方が根底から大きく変化することを意味しており、自治体もこうした時代の流れにどう対応できるかが第3の課題であります。以上のことを踏まえ本市の情報化推進について3点質問したいと思います。 まず第1は、地域情報化の推進についてであります。市民のための情報化を推進していくためには、ITを活用し行政の区域や組織の枠を超えて市民の力を市政に反映させる市民とのパートナーシップに根差した取組が不可欠であります。今日本の中で最もIT自治体として注目を浴びているのは千葉県の市川市であります。市川市では、地域の特性や市民の生活行動に合わせたいわゆる市民主役の行政サービスの実現に向けて、職員が従来の仕事のやり方にとらわれずに業務改革を積極的に進め、効率的な行政運営に取り組むなど地域情報化を行政改革の一環として積極的に取り組んでいると伺っております。特にコンビニを利用した360プラス5という生活密着型の情報サポートシステムは画期的な試みであります。すなわち360度のあらゆる方向から、どこでも、誰でも365日の1年間を通じて24時間いつでも市民が必要な行政サービスの情報を得ることができるというものであります。本市においても行政サービス情報化の推進のため京都市情報館による広報広聴の新しい仕組みづくりやワンストップ・ノンストップ、マルチアクセスサービスの実現などを目指しておられますけれども、まだ多くの課題を克服しなければならない段階であります。市長は、今後ますます進展する情報化に対し、京都の特性を生かした市民への行政サービスシステムをどのように確立され地域情報化を推進していかれるのかお答え願いたいと思います。また市民主役の地域情報化を推進していくためには、情報教育だけでなく、いわゆる先に述べた情報弱者に対するデジタルバリアフリー化対策が急務であります。どのように対策を講じていかれますか、併せてお答えください。 第2は、情報保護いわゆるセキュリティシステムの確立についてであります。セキュリティシステムの完成度が今後の未来を占うかぎを握っていると言われております。本市では、新時代の情報化に対応するため平成9年11月策定の高度情報化推進のための京都市行動計画を見直し、現在第2次行動計画策定に向けて鋭意取り組まれていると伺っております。しかし私は、この計画を着実に推進していくためには何よりも実効ある推進体制の確立とセキュリティシステムの確立が不可欠であると考えます。また行政サービスを向上させるうえでは情報及び情報システムを安全かつ有効に活用することが求められております。情報化推進におけるセーフティネットを創出する意味からも、職員の情報リテラシーや情報セキュリティに関するモラル向上を目指す基本指針を早急に策定すべきであると考えます。いかがですかお答えください。 第3は、本市の情報戦略についてであります。地域情報化の推進にあっては、情報化を何のためにどのように活用しどのような効果を得るかというプロデューサー的組織の存在とそのリーダーシップが不可欠であると言われております。1980年代、アメリカでは戦略的情報システムと共に出来上がった比較的新しい役職でCIOいわゆるチーフ・インフォメーション・オフィサー、すなわち情報統括責任者という考え方があります。情報システムの導入、運営、管理が中心の役務でありますが、常に経営的戦略が求められております。日本においても徐々にCIOの必要性についての認識が浸透してきており、最近では日本CIO連絡協議会が設立され業界を超えて交流が始まっております。私は、情報化を推進する本市として、情報に関しての全庁的な権限を有するCIOを設置し求心性とマネジメント力を高める必要があると考えます。今日まで本市においては高度情報化推進計画を策定する際、第三者機関的に高度情報化推進懇談会などに託して取組がされて参りましたが、今後は権限と審議会的要素も兼ね備えた確かな組織を作ることも重要な課題であります。更に情報セキュリティシステムの確立のため、情報セキュリティに関する統括責任機関を設置し、技術的整備や市職員の意識改革などリテラシーの向上を図るべきだと考えます。以上、最近パソコンに挑戦し情報化時代に積極的に邁進される市長御自身の御答弁をお願いしたいと思います。 次に、介護保険制度について3点お伺い致します。来るべき21世紀における超高齢社会に対応する介護保険制度が本年4月から施行され半年が経過致しました。言うまでもなく本制度は従来の措置制度から保険契約制度へと大きく変わり、利用者自身の自己選択を尊重し介護サービスの提供に要する負担を社会全体で公平かつ安定的に担おうというものであります。施行前及び施行直後においては、制度理解の不十分さから混乱と不安があったものの、現在では積極的な情報提供により制度について一定の理解が深まりつつあるように思われます。しかしながら、新しい制度の創設であることから克服すべき課題もまだまだ多くあるのも事実であります。 いよいよ10月よりは2分の1に軽減された額とはいえ実際に保険料の徴収が始まります。保険料は制度を安定的に運営していくための貴重な財源であり、条例の定めによって公平に市民の負担を求めることとしております。このため保険者である京都市としては、保険制度の仕組みについて十分な市民の理解を得るとともに予算に計上された保険料収入額を確保することが一層求められます。どうか保険料徴収については万全の体制で臨まれるとともに、とりわけ保険料納付が真に困難な方々に対しては懇切丁寧な対応により適切な対策を講じられるよう強く求める次第であります。 そこでまず第1に、制度施行後の総括と今後の対応についてお尋ね致します。公明党も、この夏に全国の各自治体に対し現時点における課題を調査するため実態調査を行い、現在、安定的な保険制度実現に向けて具体的な制度改善策の検討をしているところでありますが、私は、介護保険制度が市民の信頼に足りる制度として安定的に運営されていくためには、制度実施後においても常に問題点を検証し改善の道をたどることこそが重要であると考えます。そこで制度施行後約半年が経過した現在までを市長はどのように総括され、今後の課題としてはどのようなものが浮き彫りになっているのか、またそれにどう対応され今後に生かそうとされているのか具体的にお答えください。 第2は、介護保険のサービスが適正に提供されているかをチェックする介護相談員派遣事業についてであります。厚生省は、利用者と事業者の橋渡し役として期待され、トラブル防止とサービスの質的向上を目指すこの事業を本年度全国160の自治体でモデル実施し、その後拡大していく方針のようであります。実施主体である京都市においては、去る8月7日に京都市介護保険等運営協議会が設置され、この第1回会議において介護サービスに対する苦情、相談対応の取組として本事業を実施することが明らかにされました。介護保険制度において介護サービスの提供は利用者と提供事業者が対等の関係で締結した契約に基づいて行われるものでありますが、契約といった考え方に不慣れな高齢者にとってはサービスに対する不平や疑問などが潜在化しがちであり、ひいては事業者に対する拭い去り難い不信感に至ることも危惧されます。今まで本市は、本年4月に介護保険苦情・相談業務要領を作成し、区役所等身近な窓口で的確に対応する体制をしいてこられましたが、直接高齢者の自宅や介護施設へ訪問し、きめ細かく相談に乗り早期に問題解決が望まれる今回の介護相談員派遣事業の実施は、より安心できる介護保険制度を確立していくうえで極めて有意義なものであると考えます。今後利用者保護の観点から介護相談員の派遣事業をどのように推進され、サービス利用者の苦情、相談にどう対応していかれるのか具体的に取組についてお答え願いたいと思います。 第3は、家族介護への支援強化についてであります。将来の福祉社会を展望するとき、高齢者の介護問題は単に公的な医療福祉サービスだけでなく地域や家族の支援が相まって初めて高齢者の安心した生活を実現できるものと考えます。そこで私は、家族の介護力向上という観点から、家族介護者のホームヘルパー資格取得を積極的に支援するなど家族介護への支援策を一層強化することが重要であると考えます。今後本市は、家族介護支援のためにどのような施策を推進していかれるのか具体的にお答え願いたいと思います。 次に、21世紀・京都の観光振興について3点お尋ね致します。第1は、観光振興推進計画についてであります。観光を巡る国内外の状況は、ますます進展する国際化、情報化等により従来の予測をはるかに超え急激に変化しており、正に21世紀の観光行政の行方は今大きな転換期に来ていると思われます。世界観光機関は、世界中の外国旅行者が2010年には10億人に達すると見込んでおり、観光爆発が起こると予測しております。正に観光は21世紀に世界的な大競争時代を迎えるということであります。桝本市長は今年の2月の市長選挙を戦われる中で観光客5,000万人構想を打ち出されました。現在その実現に向けて、市長を議長とする京都市観光振興推進会議を立ち上げ、21世紀の京都を牽引する重要な役割を果たす観光の振興について、より戦略的に推進していこうとされております。今後はこの会議での検討を経て、年内には21世紀の観光都市京都を実現するため新たに観光振興推進計画が策定されると伺っております。言うまでもなく市長公約の観光客年間5,000万人を目指す計画になろうかと思いますが、最大の課題は、年次的な計画性の下に実効性のある計画となるかどうかであります。市長は、5,000万人構想実現の目標年次について、インタビューなど非公式な場で10年後にと一定示されていることも伺っておりますが、私は、この際振興推進計画の策定に向けて公式に目標達成の根拠を市民に明らかにすべきであると思います。5,000万人目標達成年次とその根拠について市長自らお示し願いたいと思います。併せて新たな計画の基本方針と今後の推進体制及び年次計画の具体化についてお答え願いたいと思います。 第2は、観光ボランティアについてであります。観光振興については、市民の協力なくしては成し得ません。京都に来ていただいた観光客がリピーターとして再び京都に入洛していただくためには、京都が誇る歴史的文化資源の発信や新たな観光資源の発掘も大切でありますが、何よりもおこしやすの言葉で象徴されるように京都市民のもてなしの心の醸成が重要であります。本市においては、おこしやす京都委員会の設置や特別観光大使など多くの観光ボランティアに支えられていますが、まだ緒に就いたばかりであります。今後は観光ボランティアへの育成支援強化と、いわゆるもてなしネットワークともいうべき観光ボランティア同士のネットワーク化が求められております。明年2001年は折しも国際ボランティア年でありますが、観光をキーワードとしたボランティアの育成、支援に今後どのように取り組まれるのかお答え願いたいと思います。 第3は、新時代に対応した新たな観光戦略についてであります。本市では産業振興の先駆的な取組として目利き委員会の設立によるベンチャー支援を行い、新しい時代の先端産業に対し強力に支援してきております。これは、ものづくり都市を標榜する京都ならではの施策で大変評価すべきものでありますが、将来性のある情報産業や環境産業が主眼となっております。私は、観光を次の時代の新しい産業振興策としてとらえ、21世紀の将来性のある観光振興ソフトプランなどを提案する観光産業に対し今後は観光ベンチャーとしての位置付けで支援することが重要であると考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。 最後に公共工事の在り方についてお尋ね致します。京都高速道路新十条通の基本計画の変更議案が昨日可決されました。今回の問題は、事前のボーリング調査での地層の透水性が実際には当初の見込みより非常に高いことが判明したため、工事の安全性を確保する観点から阪神道路公団からの工法変更を受け入れる方針を決断するに至ったというものであります。しかしながら、京都市の発展に不可欠な道路を安全を確保しながら推進することは当然のこととはいえ、公共事業改革が叫ばれ、財政難の時代にこうした事態が生じたことは公共事業そのものに対する理解を損なうことにもなりかねず、誠に遺憾と言わざるを得ません。市長におかれては、今回の教訓を生かし公共事業そのものの在り方にメスを入れ、徹底した事業の執行及び進行管理の下、透明性、効率性を一層高める公共事業を推進していただきたいことをまずもって強く求める次第であります。 今日、厳しい財政事情の下、限られた財源を有効に活用しながらコスト縮減を図り効率的な公共事業を推進することが求められております。こうした背景の中、国は平成9年から3箇年の取組として10パーセントのコスト縮減を目標にした行動計画を策定し、直接的及び間接的施策合わせて9.8パーセントの縮減に取り組まれております。本市においても平成10年度及び11年度2箇年の取組で8.6パーセントの縮減率を達成し、金額では2箇年で約134億円のコスト縮減を図られており、中でも直接的施策の縮減率の数値が6パーセント目標に対し6.7パーセントの実績と大きく評価できるものであります。私ども公明党は、3党連立政権に参加後、行政評価法の制定、地方への補助金の見直し、更には公共事業の情報公開など、正に国や地方自治体の財政が苦しい中で予算の使い方が効率的で国民にも分かりやすい国民生活に密着した公共事業改革に今全力で取り組んでおります。こうした中、先般開催された公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議において、21世紀の公共事業の新たな行動指針を策定することが了承され、更にこれを踏まえ、建設省からは平成12年度以降20年度末までを目標年度として品質の向上によるライフサイクルコストの縮減や環境対策、安全対策などの視点を盛り込んだ総合的なコスト縮減を目指す新たな行動計画が策定されることになりました。京都市は今後、新たな行動計画に対しどう対応しどのように公共工事のコスト縮減対策を講じられ、公共事業の改革に取り組まれていくのかお答え願いたいと思います。 以上、誠意ある答弁を期待致しまして、私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(二之湯智君) 桝本市長。 〔桝本市長登壇〕 ◎市長(桝本頼兼君) 大道義知議員の御質問にお答え致します。 まず初めに21世紀の京都を象徴する新しい歌を制定してはどうかとの御提案についてでございます。新たな千年紀を迎えるに当たり、私は146万人の京都市民の皆様とのパートナーシップを基本に千年新都の創造を目指しているところであり、私の市政推進の方針からも大変有意義な御提案であると受け止めております。御指摘のとおり現在の京都市歌につきましては、全国公募により制定して以来50年という歴史の積み重ねがございます。そうした経過を踏まえながら御提案の新しい歌につきましては、京都のまちを愛する市民の皆様の機運の盛り上がりが何よりも大切であると考えており、今後市民の皆様とのパートナーシップにより検討して参りたいと考えております。 次に、情報化に関連しての御質問についてお答え致します。本市におきましては、京都市情報館というホームページを立ち上げているところでございますが、公明党議員団におかれましても、いち早くホームページを立ち上げられ、私も拝見させていただきましたが、市民と市政をつなぐ大きな役割を果たされていることにまず敬意を表するところでございます。 さて産業革命をもしのぐIT革命の時代において、京都市は高度情報化を推進するための明確な戦略を持たねばならないと考えております。そして大道義知議員御指摘のとおり、インターネットなどを使いこなせるか使いこなせないかによって社会的、経済的な差が生じる情報格差いわゆるデジタルディバイドの解消及び情報の漏洩、改ざんの防止など情報セキュリティの確立は当面する最重要課題の一つであろうかと存じております。このような考え方の下に、京都市と致しましては、現在第2次高度情報化推進のための京都市行動計画の策定作業に鋭意取り組んでおります。計画の策定に当たりましては、外部有識者による京都IT戦略会議を新たに設置し様々な視点から御意見をいただき京都市の情報戦略を明確にすることと致しております。その中で電子政府と連携した電子自治体を確立しITを活用した高度な市民サービスの実現を目指して参ります。具体的にはインターネットなどを活用した申請、届出手続や情報提供をはじめとした多くの行政サービスを総合的な窓口でいつでも居宅や市外などどこでも御利用いただけるサービス、更には生涯学習や病院の空きベッド情報などなど、どんどんとその対象範囲は拡大していくと考えている次第でございます。市民の皆様方があまねくITによる高度な行政サービスを受けていただくためには、御指摘のとおり情報格差の解消が不可欠であり、その対策として市民へのITに関する普及啓発及び身近で利便性の高い情報基盤の整備促進を図って参ります。更に京都の特性を生かした地域情報化として最先端の取組でありますデジタルアーカイブを推進して参ります。またITを最大限活用していくためには推進体制の整備、そして情報セキュリティの確立が不可欠でございます。高度情報化の推進体制につきましては、おっしゃるとおり情報統括責任者いわゆるCIOを設置するとともに強力な推進体制の整備を図って参りたいと考えております。また情報セキュリティの確立につきましては、情報を安全に活用する考え方の下、情報セキュリティに関する基本的な指針及び具体的な対策を情報セキュリティポリシー及び情報セキュリティガイドラインとして今年度末までに定め、その中で御指摘の情報セキュリティ統括責任者いわゆるCISOの設置による管理体制の整備及び研修をはじめとした職員の情報リテラシー向上を目指して参りたいと存じております。 次に、介護保険制度の課題と今後の対応についてのお尋ねでございますが、制度施行後サービス利用は全体として順調に増加してきており、本格的な長寿社会に対応した新しい社会保険制度として円滑に運営できているものと考えております。また市民の皆様からはサービスを積極的に利用するきっかけになったといった喜びの声をいただいているところですが、今後サービスの質の向上や利用者への情報提供等より一層進める必要があると考えております。そのためにはお説のとおり苦情処理の適切な実施やサービス評価事業、介護相談員派遣事業などに取り組んで参る必要があると考えております。介護保険制度は、高齢者介護に関する既存のシステムを変革する半世紀に一度の新たな制度としてスタートしたばかりであり、今後とも常に実施状況を検証しながら長期的に安定した制度となるよう国とも十分に意見交換し、また必要な要望を強く行い、当然のことではございますが、本市と致しましても市民に信頼される運営を最大限努力していかなければならないと考えております。 入洛観光客5,000万人構想の達成年度についてでございますが、現在策定中の京都市次期基本計画の目標年次の2010年と致したいと考えております。目標の達成に当たりましては、現在6億3,500万人の世界の観光旅行者が2010年には10億人になると予測されることや、今年度の中国からの観光ビザの解禁などを追い風として海外からの観光客を獲得する観光宣伝活動を強化して参ります。また来春の大阪におけるユニバーサル・スタジオ・ジャパンのオープンなどを視野に入れた広域観光の推進、二条城築城400年事業、歴史博物館の建設や魅力ある観光イベントの創出などにより積極的な観光客誘致を図って参りたいと考えております。なお推進計画につきましては、社会情勢の変化や技術革新の進歩に対応し得る柔軟ではあるが筋の通った年次計画とし、市民参加型の体制により着実に実行して参りたいと考えております。 以下、副市長及び局長が御答弁申し上げます。 ○議長(二之湯智君) 増田副市長。 〔増田副市長登壇〕 ◎副市長(増田優一君) 公共工事コスト縮減対策についてお答え致します。本市におきましては、京都市公共工事コスト縮減に関する行動計画に基づきまして平成9年度から平成11年度までの3年間にわたり全庁挙げて公共工事コストの縮減対策に取り組んで参りました。その結果、本市が取り組む直接的施策の縮減率につきましては、今先生からもお話がございましたように目標値の6パーセントを上回る実績を上げることができました。今後は政府及び建設省が策定致しました新行動指針及び新行動計画を踏まえ、これまで進めて参りました直接的な工事コストの縮減のほか維持管理費も含めたライフサイクルコストの低減等の視点も加えた京都市公共工事コスト縮減対策に関する新しい行動計画を本年度末を目途に策定致しまして、公共工事コストの総合的な縮減対策をより一層推進して参りたいと考えております。更に公共工事の再評価、入札、契約制度の改善などより一層透明性、効率性の確保に積極的に努めて参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 高木副市長。 〔高木副市長登壇〕 ◎副市長(高木寿一君) 最初に観光ボランティアについてでございますが、業界の皆様はもとより市民の皆さん一人一人の親切な応対やまちの美化推進など京都へ来ていただいて本当にありがたいという心のこもったもてなしが御指摘のとおり更に多くの京都ファンを生み、繰り返し京都へ来ていただくことにつながるものと存じます。シルバー観光ボランティアや学生ボランティアとして活動を続けていただいております団体など多くのボランティアの方々の顕彰やネットワーク化に積極的に取り組み、市民の皆様とのパートナーシップで訪れる人がほっこりできる観光都市づくりを進めて参りたいと存じます。 次に、観光ベンチャー企業についてお答え致します。観光は21世紀における本市経済全体の活性化につながる重要な戦略産業でございます。とりわけ新たな需要を生み出し、市場を拡大するとともに雇用の増大につながります観光ベンチャー企業の育成は本市の産業政策のうえで極めて重要な課題でございます。昨年、おこしやす京都委員会が中心となりまして観光ベンチャー企業を育てる試みの第一歩として観光ベンチャー企業事業プランと観光アイデア募集を行いましたところ多くの魅力ある提案が寄せられました。本年も2回目の募集を今月15日まで行ったところでございます。有望な事業プランにつきましてはベンチャー企業目利き委員会の制度と結び付けまして支援して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) 井尻保健福祉局長。 〔井尻保健福祉局長登壇〕 ◎保健福祉局長(井尻浩義君) 介護相談員派遣事業についてお答えします。この事業は、国の介護サービス適正実施指導事業の一環として本年度モデル実施するものでございます。事業の概要につきましては、あらかじめ研修を受けた介護相談員を施設などへ派遣しまして直接利用者の話をお聴きし相談に応じるとともに、事業者との調整を行い利用者の不安やあるいは疑問の解消を図るものでございます。この事業の実施によりまして各事業所におけるサービスの質的向上につながるものと考えております。本市と致しましては、今年度は10月から約10名の介護相談員を5箇所程度の施設などへ派遣することとしておりまして、今後本事業が実効あるものとなるよう高齢者保健福祉の推進に大きな役割を果たしてこられました関係団体とも十分な連携を図りつつ取組を進めて参ります。 次に、家族介護支援についてでございますが、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするためには、地域社会における支援に加えまして家庭における家族の援助や協力は欠かすことのできないものであると考えております。このため従来から京都市介護実習普及センターにおいて実施しております家庭介護講座に加えまして、新たに10月からはホームヘルパー養成研修受講経費を一部補助する家族介護者ヘルパー研修受講支援事業を実施して参りたいと考えております。今後につきましても在宅の高齢者が安心して暮らし続けられるよう家族介護者への支援を充実して参りたいと考えております。以上でございます。 ○議長(二之湯智君) これをもって一般質問を終結致します。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ○議長(二之湯智君) 本日は、これをもって散会致します。 〔午後3時20分散会〕~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~          議長    二之湯智          副議長   今枝徳蔵          署名議員  倉林明子          同     山口 勝 △請願文書表「受理番号260」「地元建設業者への公共工事発注の即時実施等」・請願文書表「受理番号261~270」「学校施設の充実とそれに伴う地元小・零細建設業者への仕事の確保」 △請願文書表「受理番号261~270」「学校施設の充実とそれに伴う地元小・零細建設業者への仕事の確保」・請願文書表「受理番号271」「大型複合商業施設建設への指導等」 △請願文書表「受理番号272~354」「大型複合商業施設建設への指導等」 △請願文書表「受理番号272~354」「大型複合商業施設建設への指導等」 △請願文書表「受理番号272~354」「大型複合商業施設建設への指導等」 △請願文書表「受理番号272~354」「大型複合商業施設建設への指導等」・請願文書表「受理番号355」「上下水道料金の引上げに当たっての軽減措置適用」 △請願文書表「受理番号356~357」「上下水道料金の値上げ反対」・請願文書表「受理番号358」「上下水道料金の値上げ反対等」 △請願文書表「受理番号359~391」「上下水道料金の値上げ反対等」 △請願文書表「受理番号359~391」「上下水道料金の値上げ反対等」・請願文書表「受理番号392~485」「上下水道料金の値上げ反対等」 △請願文書表「受理番号392~485」「上下水道料金の値上げ反対等」 △請願文書表「受理番号392~485」「上下水道料金の値上げ反対等」 △請願文書表「受理番号392~485」「上下水道料金の値上げ反対等」 △請願文書表「受理番号486~506」「上下水道料金の値上げ反対等」...